毎日の良い習慣とは
良い習慣を毎日維持するのはなかなか難しいものですが、健康全般を何よりも大切にすることのメリットはとてもポジティブです。何とか時間を割いてでも優先するようにしましょう。
燃え尽きやストレス、圧迫感、そして病気を防ぎたいなら、毎日の良い習慣が役に立ちます。睡眠と休息を含めて健康的な生活をして、より丈夫な免疫を構築することで、体に病気に対する抵抗力がつきます。また、自分に意識を向けることで、疲労やストレスが健康に悪影響を及ぼす前に、その兆候に気づくことができます。
良い習慣を通じて日々セルフケアをしていれば、どこかでバランスが崩れたときや調和がとれなくなったときに、いち早く察知して調整し、問題が慢性化するのを防ぐことができるでしょう。1
これほど大きなメリットがあるのに、健やかで満たされた日々を支える良い習慣が後回しになりがちな理由とは何でしょうか。
誰もが気分よく食事をし、ストレスのない幸せな生活をしたいと願っているのに、なぜ実現しないのでしょうか。
それは、時間がかかるからです。日常生活の中で習慣を守るとなると、やるべき事が増えたように感じられるかも知れません。毎日が忙しく、やるべきことが全部できそうになくて、1日のあちこちで時間を削っている人も少なくないでしょう。
そんな中で、自分がやりたいと思っていることを切り捨てていませんか。「他の誰かに迷惑をかけるわけでもないのだから」と、ランニングをするつもりだったのを簡単にやめてしまう、といったように。
私たちはなぜ、このような選択をするのでしょうか。それは、自分以外の誰かに対して義務を負っているわけではないからです。やらなかったからといって、誰かを失望させることはありません。もしも友人に頼まれていた用事をしないことを選んだら、友人を失望させることになります。このようなプレッシャーがかかると、楽をすることの優先順位が変わるのです。
やらずにいるのは一見楽なようで、逆効果です。なぜなら、結局は疲労がたまり、気が立って体調を崩し、幸せと言えない状態になってしまうからです。
ですから、毎日の良い習慣は、自分にとって譲れないものにしなければなりません。自分の健やかで満たされた心を守り、維持するために、自分のためだけに決めて実行しましょう。
習慣とは何か、その本質を理解することから始めましょう。
ある辞書では習慣の定義は「定着した、あるいは規則的な傾向や慣行で、特にやめるのが難しいもの」とされています。
また、心理学の専門誌アメリカン・ジャーナル・オブ・サイコロジーは、習慣とは定期的に繰り返され、無意識に起こる傾向のある行動のことであり、心理学の立場からは(習慣とは)以前の精神的な経験の繰り返しによって獲得された、多少なりとも固定された、思考、意志、感情の方法である、としています。
例えば、歯を磨く、運動する、好きなテレビ番組を見るなど、いつもの習慣になっているものはすぐにいくつか思い付くでしょう。一方、飲酒、喫煙、過食など、良いとは言えない習慣もあります。
習慣によって、比較的断ち切りやすいものとそうでないものがあるのはなぜなのでしょうか。例えば、ケーキが大好きな人にとってはデザートは「幸せな」習慣として定着しています。これはなかなかやめられません。一方、同じ人が毎日ランニングを習慣にしていても、続ける方が難しくてやめるは実に簡単、といったように。
『習慣の力』の著者チャールズ・デュヒッグは、まさにこのテーマを何年もかけて研究してきました。彼は次のように述べています。
「人が1日に行う行動の40%は、意思決定ではなく、習慣によるものと考えられます。歯磨きや車の運転、帰宅後のランニング、ソファの前でだらだらすることなど、いずれも習慣です。そして、良い習慣も悪い習慣も作り出せます。脳は常に新しい習慣を作ることで労力を節約し、エネルギーを他の仕事に回そうと考えているのです。習慣が生まれると、脳は意思決定に関与しなくなります。だから、習慣を変えたければ、意識的に戦わなければならないのです。」2
良い習慣のための時間を毎日確保するには
時間が足りないと感じることはよくあります。
大急ぎで用を済ませたその後はどうでしょうか。一日の終わりに、結局何もできなかったような、充実感のなさに疲れ、ストレスを感じていませんか。
もしそうなら、タイムマネジメントが役立ちます。時間を効果的に管理する方法を学ぶことで、肩の力を抜いて、集中し、自分をコントロールできるようになります。
公認職業心理学者のエマ・ドナルドソン・フィルダーによると「タイムマネジメントの目的は、ライフスタイルに自分の望むバランスを実現すること」です。
「人生における優先順位を決めましょう」「それが、時間の使い方や管理方法の指針になります」
全体像が見えたら、短期・中期の目標を立てて下さい。「目標が見えれば計画を立てやすくなり、目標達成に役立つことに集中できるようになります。」とも言及しています。3
毎日の良い習慣を優先する
優先順位を決めるのは難しいかもしれませんが、決めた順位を固定する必要はありません。多少の変化があっても、スタートを切ることが重要だということを忘れないで下さい。週に3日ジムに通う、であれ、月に1冊本を読む、であれ、絶対的な正解もなければ間違いもありません。自分にとって大切なことは何なのか、自分に問いかけてみて下さい。
毎日の良い習慣に、5つのおすすめ
- 朝のルーチンを決める
朝を良い習慣でスタートすると、前向きで生産的な1日を過ごすことができます。まずは、短時間でシンプルなものから始めてみて下さい。 - よく眠る
睡眠不足は脳と身体に大きな悪影響を及ぼします。ですから、健康全般のために睡眠の「質」と「量」を両立させる必要があります。概日リズム(体内時計)は、睡眠と覚醒のサイクルを調整する体の自然な仕組みで、およそ24時間ごとに繰り返されています。体は主に明暗に反応して概日リズムを保つので、食事の時間を管理し、日光を浴び、運動やストレス解消をするなど、簡単にできることを心がけましょう。
「ヒトや動物は慢性的に睡眠不足でいると免疫力が低下し、軽い病原体やウイルスに容易に侵入を許し、より大きなダメージを受けたり死に至ったりする可能性があることが研究で明らかにされています。従って、一貫性のある睡眠習慣を維持することは、より良い免疫力を維持するための強力な戦略となります。」1
3. 感謝の気持ちを意識する
感謝の気持ちを経験することで、身体的、心理的、社会的にメリットが得られることは、フォーブス誌で報じられた2012年の研究(Personality and Individual Differences)で示されています。
感謝していることを3つ考えるという、簡単なことから始めましょう。朝起きたときでも、寝る前でも構いません。これはとてもシンプルで効果的な習慣です。例えば、「今日の感謝は」で始めて、「屋根の下で暮らせること、食卓に食べ物があること、周りに家族がいること」といったように書いていって下さい。4
4. 瞑想する
ホリスティックな瞑想の作用は多岐にわたります。不安や抑うつなどの精神的な問題を軽減すること、ストレスや怒りを自然に管理することができます。痛みの緩和や心臓の健康増進、睡眠パターンの改善などの身体的効果も広く知られています。
継続すること、免疫力の向上、気分の高揚、人間関係の改善、全体的な幸福感の上昇など、様々な効果が期待できます。5
5. 屋外で過ごす
散歩をしていて、鳥の声や空気の匂いを感じ、安らぎに浸れることのすばらしさを感じたことはありませんか。
ところが、現実には室内で過ごす時間が長すぎて、外の世界がどれほど気分を高揚させ、全体的な気分にメリットをもたらすものであるかを忘れがちです。
メンタルヘルスの慈善団体であるMINDは、次のように提言しています。
「自然の中で過ごすと、不安やうつなどの精神的な問題の解決に役立つことが明らかになっています。例えば、エコセラピー(自然の中で野外活動を行う正式な治療法の一種)については、軽度から中程度のうつ病に効果があることが研究で示されています。これは、体を動かす習慣と社会的交流、自然の中で過ごすことの組み合わせによるものと考えられます。」6
昼休みをきちんととる、歩いて通勤する、早朝の庭でお茶をする、その程度のことでも、健康や幸福感に大きな影響を与えることができるのです。日常生活に簡単に取り入れることができるシンプルな習慣で構いませんので、自分に合ったことを楽しむようにして下さい。
多忙な生活や予期せぬ出来事の中で、つい脇に追いやってしまうことはあるものです。日々の習慣も例外ではありません。しかし、良い習慣は例外であるべきなのです。
毎日の良い習慣こそ最も外せないものである、と自分に言い聞かせましょう。