メンタルの不調をサポートするエクササイズ
メンタルヘルスに問題があるときに運動を始めるには
メンタルヘルスの重要性を語ることが一般的になってきたのは嬉しいことです。生理的な面と精神状態の両方で健康を維持することは、身体的な健康に劣らず重要です。メンタルヘルスは、私たちの考え方、感じ方、行動に影響を与え、ストレスへの対処法を決定し、人との関わり方をも左右します。1
精神面の調子が良くない時こそ、ほんの少しでも体を動かすことでメリットが得られるはずなのですが、実際にはどうにも運動する気になれない、ということはあるものです。
「運動」を見直して楽しめることに集中しましょう
気分の上がらないときは「運動」という言葉を聞くだけで面倒に感じるかもしれません。これは、運動を楽しくない活動と関連づけてしまうことや、寒くて雨の降る日など、やりたくないのに強制的に運動させられた学校での経験が原因となっていることが多いようです。でも、大人になった今、あなたの主導権を握っているのは自分自身です。運動を課題にするというよりも、自分の好きなことをして体を動かすのがポイントです。体を動かすことで得られる健康効果は実に多彩です。しかも、それを実感するために無理やりジムで有酸素運動をする必要はありません。例えば、ちょっとした散歩に出たり、庭の植物を整理したり、雑草を抜いたりするだけでもよいのです。ガーデニングは心身の健康に良いとされています。新鮮な空気は心まで清々しくしてくれます。天気が悪い日でも、オンラインで新しいダンス・エクササイズや他のトレーニングを試してみることができます。Zoomでクラスを実施しているものもあれば、事前に録画されたものを視聴できるようになっているものもあり、幅広いオプションが提供されていますので、人前で運動するのが苦手な方でも心配ありません。
エネルギーが最も高まる時に運動をする
人はそれぞれに違います。早朝が好きな人もいれば、どれだけ寝てもベッドから出られない人もいます。夕方になると元気になる人もいれば、夜9時にはベッドに入りたい人もいるでしょう。あなたが朝型でも夜型でも、それは問題ではありません。そういった傾向に逆らわず、自分に合った方法を見つけましょう。研究によると、朝一番に運動をすると、一日を元気に過ごせるという説が有力ですが2 、朝が苦手な人は無理する必要はありません。運動する時間帯は、午後か夕方に設定しましょう。早朝は理想的ですが、唯一絶対ではありません。
快さを感じられるように
より快くなる工夫は、どんどん取り入れましょう。友達に5kmマラソンに誘われたとして、気乗りしないのに参加する必要はありません。でも、その理由を考えてみてください。本当に自分にはできないと思っていますか。もしも早くからトレーニングを始めて、計画が順調に進んでいたとしたら、どう答えたでしょうか。適切な衣類を持っていないと思ったのなら、他の人にどんな服を着るか聞いてみたり、ランニングのフォーラムを参考にしたりできるはずです。やりたくなくてもやらなければ、というプレッシャーを感じるのは良くないことですが、簡単に解決できる何かを理由に断念しているのなら、ちょっとした工夫で楽しい経験ができるかも知れません。その可能性を考えてみる価値はあるでしょう。
自分に優しく、ご褒美も用意して
どんな運動をするにしても、挑む相手は自分だけであることを忘れないで下さい。あなたよりも健康で丈夫な人は必ずいますし、その人よりも健康で丈夫な人も必ずいます。他人と自分を比べる必要はありません。比較するなら、対象は自分自身だけにしましょう。昨日はできなかったけれど、今日できるようになった、それは立派な成果です。多少気がすすまなくとも、その成果に報いましょう。昨日しなかった何かをすれば、それだけで今日はより良い日になるのです。
運動を社会活動にする
メンタルヘルスに着目した研究によると、一人で運動するよりもグループで運動した方がメリットが大きくなる可能性があるということです。 3 グループでの運動には、単独での運動にはない多くの要素があります。例えば、参加することに対する責任感、ベストを尽くすためのモチベーションや励ましをもたらしてくれる人々、嫌なことがあった日にも頑張れるよう支えてくれる人々、そして、新しい出会い環境に触れることで、社交やサポートのネットワークが自然と広がる、といった点です。繰り返しになりますが、人はそれぞれ違うということを忘れてはいけません。一人で散歩やジョギングをしたい人はそれで良いですし、自宅にいる方が快適にエクササイズができるのなら、それも良いのです。
メンタルの不調を抱えている人が運動を始める一番の方法は、楽しいと思える体の動かし方を見つけることです。それができれば、あとは自然に運動できるようになるでしょう。