脳トレが身体能力の向上に役立つ?
脳と体がつながっていることは、誰もが知っています。
では、認知能力や心理面の健康状態は、身体能力にどのような影響を及ぼすのでしょうか。例えば、脳を鍛えることで、反応速度や正確な視認、記憶力などを向上させることができるのでしょうか。ストレスの多い厳しい環境でスポーツのパフォーマンスを発揮するには、認知機能にも最適な水準で働くことが求められます。その機能は、注意力、意思決定、ワーキングメモリ(作業記憶)など多岐にわたります。1
脳を鍛えるトレーニングはコグニティブ・トレーニングとも呼ばれ、脳機能の向上を目的とした一連のメンタル・エクササイズを行います。トレーニングの一環として認知機能のエクササイズを行うという方法は、プロのスポーツ選手の間ではよく実施されています。身体能力向上に集中するために、まず脳の機能を高めるのです。
スポーツ選手が頭脳を鍛えるべき理由とは
脳のトレーニングにより心の健康を増進し、記憶力や注意力、問題解決力などの認知能力を高めることができることは、研究で示されています。2
スポーツで求められるのは、身体的なスキルや能力だけではありません。優れたスポーツ選手になるためには、様々な認知機能を活用することも必要です。例えば、プロ選手は知覚や判断などの認知能力を高めることで、対戦相手の動きを予測し、正確で迅速な判断を下せるよう努めています。
認知能力にはたくさんの分類がありますが、スポーツで優れた成果をあげたい場合は主に以下のような分野が重要になります。
注意力
- 持続的注意:注意力と集中力を長く持続できることが重要
- 選択的注意:外部からの刺激を精神的に遮断する
- 柔軟性:集中力を次の何かに移すことができる
記憶力
- 長期記憶:知識を保持し将来のパフォーマンスに生かす
- 作業記憶:知っていることを利用する
視覚的処理
- ビジュアライゼーション:頭の中でイメージやシナリオを描く
- 視野の広さ:周辺の情報をひと目で把握する
- 識別:パフォーマンスに影響する小さな違いを見分ける
感覚の統合と思考
- タイミング・リズム:一瞬のタイミングを狙って最適なリズムで動く
- 計画性:短期計画と長期計画
- 決断のスピード:迅速な意思決定
脳を鍛える具体的な方法
その場にいないと再現できないシナリオもあるのは確かですが、同様の場面に実際に遭遇したときに備えて脳を鍛えておく方法はあります。メンタルを最高のコンディションにするために、以下のような方法を試してみて下さい。
- 勝利をイメージする。目的が勝つことであれ、完遂することであれ、エクササイズをすることであれ、自分はやるべきことをやるためにここにいるのだと自分に言い聞かせてみると成功しやすくなります。
- マインドフルネスを実践する。日常生活の中でマインドフルネスを実践することで、スポーツの中でも意味のあることや抽象的な物事を理解しやすくなります。
- 成功に向けて計画する。自分がどんな風に勝つのかを考えてみましょう。それを具体的に思い描いて下さい。そして、スポーツに従事する前に、成功のシナリオを頭の中で再現します。
- ポジティブな面に注目。周囲には常にポジティブな影響とネガティブな影響があります。自分の周りにネガティブな要素が多い場合は、自分の内部のポジティブな要素に注目しましょう。何が自分を幸せにしてくれるのか、何がやる気の元になるのかを考えて下さい。
実力を最大限に発揮するには、身体能力だけでなく、スポーツのそれ以外の要素にも着目する必要があります。トレーニングにおいては、体を鍛えるのと同様に、頭脳を鍛えることも重要です。「心は体よりも先に諦める」とよく言われます。心を強くすることで、成功のチャンスを最大限に広げることができるのです。