睡眠の重要性
回復できる安眠を
私たちにとって睡眠は欠かせないものです。睡眠不足で困った経験は、誰もが一度や二度はあるでしょう。睡眠が不足すると、白目や肌のくすみ、頭痛などの身体的な影響を引き起こしますが、睡眠の重要性はメンタルヘルスを理解する上でも重要な鍵となります。率直に言うと、睡眠不足はメンタルヘルスに悪影響を及ぼします。睡眠不足による日中のパフォーマンスの低下は普遍的なものであり、社会的、経済的、人的にも大きなコストがかかっていると考えられます。睡眠不足に関する研究では、程度の差はあれ、気分、認知力、運動機能に(負の)影響があることが繰り返し示されています。1
睡眠の段階とは
睡眠は一定の直線的なプロセスではありません。枕に頭をのせたらすぐにぐっすりと眠れて、8時間後に同じ姿勢で目が覚めるような幸運な人もいるかも知れませんが、本当の意味で安眠を達成するには、段階的な睡眠をこなす必要があります。
睡眠には5つの段階があり、1、2、3、4を経てレム睡眠(急速眼球運動を伴う睡眠)に至ります。第1段階から始まって、レム睡眠まで順番に進んだら、再び第1段階から始める、という周期を繰り返します。睡眠のサイクルは平均90~110分、各段階は5~15分程度です。 2
一般的に話題になるのは夢を見る段階であるレム睡眠ですが、実は最も回復力が高まるのは、ノンレム睡眠の第3段階と第4段階です。いずれも最も目覚めにくい段階で、体と心を回復させ、次の覚醒期に向けて準備をしている状態にあります。
毎晩8時間眠ることは本当に重要か
そうとも言えますし、そうでないとも言えます。8時間ぐっすりと眠り、その間睡眠サイクルを何度も繰り返し、第3段階と第4段階の回復期の睡眠も都度経験しているのなら、良いことです。一方、8時間を達成したとしても、その間に何度も目が覚めてしまう場合は、第3段階の睡眠が不足していたり、深い睡眠に到達できていなかったりする可能性があります。このような睡眠では、合計時間では目的に達したとしても快眠とはならず、疲れが残ってしまうでしょう。入眠から順次すべての段階を経て周期を繰り返す、そんな睡眠を維持することがポイントです。
睡眠の質を改善する方法
私たちには体内時計が備わっていますが、ずれが生じてしまうと、眠れなくなったり、すぐに目が覚めたり、爽快な気分で目覚められなくなったりします。寝るにも起きるにも、同じ時間帯に決まったルーティンをこなすようにすると、体が慣れてきます。就寝は快適な日課にしたいものです。寝室はできるだけ心地よく整えて、新鮮な空気を入れ、安定した温度を保つようにして下さい。
特に就寝前の数時間は、食習慣が睡眠の質を左右します。カフェインには心を活発にする作用があるため、スイッチを切って落ち着くのが難しくなります。ですから、コーヒーやチョコレートなどの刺激物を控えると、より良い睡眠がとれます。また、就寝前に重たい食事をしないようにすることも賢明です。胃に食べ物が留まったままでは不快感を招き、寝つきが悪くなったり、途中で目覚めたりする原因となることがあります。
定期的な運動は不眠症の改善に役立ち、深い睡眠段階で回復に費やす時間を増やすことができます。激しい運動をすればするほど、睡眠への効果は大きくなります。激しい運動と聞いて怖気付くことはありません。ウォーキングなどの軽い運動を日課にするだけでも睡眠の質を向上させることができます。
最後になりますが、スマホからは離れましょう!携帯電話、パソコン、タブレット、テレビなどの画面から発せられるブルーライトには、睡眠と覚醒のサイクルを制御するホルモンであるメラトニンの産生を抑制する作用があり、入眠の妨げとなります。3