ビタミンDが大切な理由とは
ビタミンDは全身の健康に特に重要なビタミンのひとつですが、充分な量を摂取できていない人が少なからずいます。
ビタミンDについておそらく最もよく知られているのは、骨を丈夫にする鍵となるカルシウムとリンの吸収を助け、骨の健康に貢献することでしょう。カルシウムを必要とするのは骨だけではありません。ビタミンDは血中カルシウム濃度の正常化にも貢献しています。筋肉を動かすにもビタミンDの働きが関わっています。1
ビタミンDの産生
太陽のビタミンとして知られるビタミンDは、ヒトの体内で産生できる(太陽光を浴びると合成される)唯一のビタミンです。また、ビタミンCとは異なり、体内に蓄えることもできます。しかしながら、日光が不足するとビタミンDを作ることはできません。
食生活を通じてビタミンDを摂取することも可能です。他のビタミンやミネラルと比べると摂取源となる食品はそれほど多くありませんが、積極的に取り入れたいものをいくつかご紹介しましょう。その前に、なぜビタミンDが必要なのかを確認します。
ビタミンDと骨
骨量は主にカルシウムで構成されており、成長期に形成されます。20代以降になると骨密度が低下し始め、年齢を重ねるほどに骨量の減少が加速します。小さい頃から青年になる間に骨量を増やせば増やすほど、後年に新しい骨組織が沈着しなくなった時に利用できる「貯蓄」が多くなる、というわけです。2 ビタミンDが骨をつくる過程で欠かせないのは、腸からカルシウムを吸収するのを補助するという重要な役割を果たしているからです。
ビタミンDと免疫系
近年、ビタミンDが免疫系の正常な機能に寄与することが知られるようになって、その重要性が注目されています。アメリカ国立生物工学情報センター(NCBI)ではビタミンDの欠乏と免疫系への影響について研究が進んでおり、ビタミンD欠乏症が感染症への感受性の増大と関連づけて考えられています。3
ビタミンDと気分
ビタミンDといえば多くの人が太陽の光や休日など、自然に気分を高揚させてくれる要素が連想されます。また、科学的な立証には至っていないものの、ビタミンD不足と季節性情動障害(SAD)との関連性も指摘されています。 4 これは冬季うつとも言われるように日照時間が少ない時期に起こりやすい抑うつ状態が特徴的で、光治療などが実施されています。
ビタミンDの摂取源
先に述べたように、日光以外に食生活からビタミンDを得るという方法もあります。ビタミンDは、サケ、マグロ、サバ、ニシン、イワシなどの脂ののった魚、赤身肉、レバー、卵黄 5 などから摂取できます。
牡蠣も優れた摂取源ですが、普段の食事で頻繁に食べられる人はあまりいないでしょう。栄養強化されたチーズ、スプレッド、乳製品などもチェックしてみて下さい。もちろん、サプリメントという選択肢もあります。
ビタミンDのサプリメントの効果
英国公衆衛生局 6 2016年、栄養に関する科学諮問委員会 (SACN) の勧告を受けて、食事で推奨量を摂取できない秋から冬にかけては、ビタミンDのサプリメントを毎日摂取することを検討すべきである、との助言を行なっています。それは日の短い間、日光を浴びて充分な量のビタミンDを得ることが難しいからです。さらに踏み込んで、日光にほとんど素肌をさらしていない人はビタミンD欠乏症になるリスクがあること、よって通年サプリメントを摂取する必要があることも示しました。また、アフリカ系、アフロカリブ系、南アジア系など肌の色が濃い人は、夏でも日光から充分なビタミンDを得られない可能性があるため、通年サプリメントを利用することを検討する必要がある、と強調しています。これは日差しの弱いイギリスでの話であることは念頭に置いておく必要があるでしょう。
ビタミンDの摂取量を増やす食生活
先に触れたように、乳糖不耐症のある人やヴィーガン、厳格なベジタリアンでなければ、ビタミンDを含む様々な食品をヘルシーな食生活に取り入れることができます。魚が食べられるなら、以下のようなレシピでビタミンDの摂取量を増やしましょう。ぜひご自宅で作ってみて下さい。また、おすすめのレシピがありましたら socialshare@lifeplus.com までお知らせ下さい。ぜひ皆さんと一緒に試してみたいと思っています。
サーモンのローストと半熟卵、アスパラ炒め(4人前)
サーモン切り身(ローストか茹でたもの)2枚
アスパラガス 500g
ホウレンソウ 500g
卵 4個
エクストラバージンオリーブオイル 大さじ4
無塩バター 大さじ1
レモン2個(くし切りにする)
作り方
• アスパラガスにオリーブオイルを振りかけ、塩コショウで味を調える。
• フライパン(焦げ付き防止タイプが便利)を強火にかけ、アスパラガスを入れて2分ほど揺り動かしながら炒め、取り出して脇に置いておく。
• 同じフライパンに残りのオイルとバターを入れ、塩、こしょうをして中火にかけ、ホウレンソウを加えます。中火で炒めて全体に油分を行き渡らせます。火が通ったら火を止めて下さい。
• 別の鍋に水を入れて火にかけ、沸騰させます。沸騰したら弱火にしてスプーンで湯をかき混ぜて渦を作ります。水面になるべく近い位置から卵をそっと割り落とし、卵白がひとまとまりになるのを待ちます。卵を4つとも同様に入れ、3分ほど茹でます。火が通ったら大きめのスプーンで卵をすくい取り、キッチンペーパーの上に置いて余分な水分を除きます。
• サーモン、アスパラガス、ホウレンソウを4枚の皿に盛り付け、その上に卵をのせます。
• 黒こしょう適量を振り、レモンを添えて出来上がりです。
レモンサーディンのリングイネ(4人前)
乾燥リングイネ 400g
エクストラバージンオリーブオイル 大さじ3
エシャロットの薄切り 大さじ2
唐辛子のフレーク 小さじ2
ニンニク 1片(みじん切り)
サーディン 120g入りで2缶(汁気を切っておく)
レモン 1個(果汁と皮を使います)
パセリ 大さじ1
ベビーケール 大さじ2
作り方
• パッケージの説明書に従ってリングイネを茹でます。茹で汁大さじ2杯分を別にとっておきます。茹で上がったパスタのお湯を切り、フライパンに移して茹で汁とオリーブオイル大さじ1を加えて混ぜ合わせ、温めておきます。
• パスタを茹でている間に、厚底の大きなフライパンにオリーブオイル大さじ2を熱します。
• エシャロットを加えて1分ほど炒め、唐辛子のフレークを加えて混ぜます。火を弱めてにんにくを加えたらよくかき混ぜ、1分間火を通します。
• フライパンにサーディンを加えます。あまり崩さないように注意してかき混ぜて下さい。レモンの表皮を細かく削ったものを加え、もう一度かき混ぜます。
• サーディンのソースにパセリとベビーケールを加え、リングイネに混ぜ合わせます。塩コショウで味を調え、仕上げにレモン汁をかけます。
以上、お召し上がり下さい。
- https://www.health.harvard.edu/press_releases/controlling-blood-pressure-with-food [↩]
- https://www.nof.org/preventing-fractures/nutrition-for-bone-health/peak-bone-mass/ [↩]
- https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3166406/ [↩]
- https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2908269/ [↩]
- https://www.nhs.uk/conditions/vitamins-and-minerals/vitamin-d/ [↩]
- https://www.gov.uk/government/news/phe-publishes-new-advice-on-vitamin-d [↩]