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ポジティブなストレスとは

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ストレスはごく普通の生活の一部です。

この言葉はネガティブにとらえられ、悪い経験をしたときに使われる傾向がありますが、実際には、ある状況に対して心身が反応することを言っているに過ぎません。実は、すべてのストレスが体に悪いというわけではありません。マラソンを走るときや時間的なプレッシャーの中でプロジェクトを遂行するとき、人前でスピーチをするときなど、ストレスホルモンが分泌されますが、短期的に気分を高め、活力を与え、パフォーマンスを向上させて成功へと押し上げるといった手助けになることがあります。

ストレスのかかる状況を脅威ではなくチャンスと捉えるようにすると、このポジティブなストレス(英語で苦痛の反対語にあたる、ユーストレスとも呼ばれる)が恐怖に打ち勝って目標を達成する力を高めてくれるのです。ストレスに圧倒されるのではなく、むしろその力を利用することで、人は変化と自己成長を遂げることができます。ストレスを機に自分の人生に対する決意と主体性を強化して、心の健康を増進させましょう。

イギリスのメンタルヘルスの慈善団体MINDによると、ストレスは「行動を起こし、活力を実感し、結果を出す」のに役立つそうです。 1

ストレスとは

ストレスには、ポジティブなものとネガティブなものがあります。けがや病気、家族の死、職場や家庭での揉め事、経済的・法的問題など、例外なく有害なストレス要因ももちろんあります。回復力や対処能力は人それぞれですが、残念ながらこの種の体験が心身に有害な影響を及ぼす可能性はあります。

それでも、メンタルヘルスの専門家は、ストレスを経験することには利点もあると認識し始めています。医学誌(World Journal of Medical Sciences)に掲載されたある研究では、以下のことが明らかになりました。

「ストレスは、生物が困難な状況や環境の中で生き残るための保護反応である。ストレスは強大な負の環境がもたらす影響に対する反応であると認識されてきたが [中略] 現在、研究者の間では [中略] ユーストレスは健康や長寿に影響する好ましい要因と見られている」   ((The Eustress Concept:Problems and Outlooks))

ポジティブなストレスとは

ポジティブなストレスは、達成できそうだという期待感の高まりをもたらします。プライベートでも仕事でも、あらゆる種類のストレス要因がありますが、それが心身の健康に有益な影響を与える可能性があるのです。例えば…

  • 新しい仕事を始める、昇進する、退職する
  • 結婚し家庭を持つ
  • 引越しする
  • 旅行に出かける
  • 新しい趣味やスキルを身につける

ポジティブなストレスの効果は、自分自身に挑戦したり、快適な環境から踏み出したり、新しい体験をしたりすると、心身で感じられます。

ポジティブなストレスを意味する「ユーストレス」という言葉は、1974年にノーベル賞候補となったハンガリーの先駆的科学者、ハンス・セリエ博士によって提唱されました。博士はその中で、能力や意欲を高めて「健康的、肯定的、建設的な結果」に導くことができるストレスと、逆に不安を与えて機能を停止させるようなストレスの違いに着目しました。 2

心理学者のラザルスとフォークマンによるさらなる研究では、ポジティブなストレスとネガティブなストレスのどちらを経験することになるかは、当人の応じ方次第であることが示されています。この研究では、ある状況を押しつぶされそうなものとして認識するか、刺激的な挑戦として認識するかには、性格、健康状態、エネルギーやサポートの程度など、内外の各種の要因が影響することが説明されました。 3

ストレスに対する身体的反応

脅威に対する脳と体の反応が「闘争と逃走」と表現されるのを聞いたことがある人は多いでしょう。ストレスホルモンであるコルチゾールとアドレナリンが放出されると、心拍が上がり、呼吸が速くなって血圧も上昇します。その間、ブドウ糖が筋肉に行き渡って柔軟に準備をととのえるよう促し、オキシトシンの働きで、助けてくれる誰かとつながろうとします。

このような生理的な変化は、少量であれば、疲れるよりも、むしろ爽快感をもたらします。エネルギーを高め、集中力を研ぎ澄まし、逆境にうまく対応するためのモチベーションを与えるべく、体が機能するのです。

ストレスにポジティブに対応するために役立つこと

英国のストレスマネジメント協会は次のように述べています。「自分の思考をコントロールすれば、困難な状況に対する解決策を見出す能力が高まり、ストレスにより効果的に対処できます。自分の心の扱い方をマスターすれば、もうストレスとどう付き合えばいいか迷うことはありません。」   ((Assess your mindset))

ポジティブなストレスに関する研究を通じて、ストレスにうまく対処している人には、以下のように様々な共通点があることが分かってきました。

  • 自分自身を信じ、自分の能力に自信を持っている
  • 希望に向かってポジティブに考える
  • 自分には力があり、状況をコントロールできると認識している
  • 自分にも他人にもおおいに期待している

ポジティブなストレスの効果

人はポジティブなストレスを経験すると、適応能力が高まります。将来成功するために、文字通り、脳の配線を組み直すのです。このような働きは、自尊心、モチベーション、心身の強さに影響します。レジリエンス(回復力)が強化されて、新たなストレス要因が発生しても、再び自分を信じて自分を奮い立たせることができるようになります。

健康心理学者のケリー・マクゴニガル博士は、2013年にポジティブなストレスをテーマにTEDトークを行って注目を集めました。研究の結果、ストレスについての考え方を改めることを学ぶと、不安を軽減して、より有能になれることが浮き彫りになった、とのことです。博士は次のように述べています。

「ストレスに対する考え方を変えることで、より健康になれるのでしょうか。科学はイエスと答えています。健康心理学者として、私は皆さんのストレスを取り除くのではなく、皆さんがストレスと上手に付き合えるようにしたいと考えるようになりました。ポジティブに受けて立つ方に反応するには、ある単純な思念が一助となります。自分は対処できる、と思うこと。コントロールしきれないかも知れないけれど、それでも対処することはできる、と考えるのです。」 4

仕事関係のポジティブなストレスについて

職場のストレスに関するヨーロッパの専門誌(European Journal of Work and Organizational Psychology)に掲載されたある研究によると、従業員は個々の考え方によって仕事上のストレス要因に対して異なる反応を示すことが分かりました。ポジティブなストレスを志向する従業員は、仕事量が大きく増すことが予想されるとき、自分のパフォーマンスを向上させるために建設的な行動をとりました。すなわち、計画的にスケジュールを立て、課題を学習の機会ととらえることで、仕事の成果を上げました。また、終業時のエネルギー水準も高い傾向にあったということです。5

一方、レパヤの2021年の研究からは、ストレスがビジネスにおいて大きな問題を引き起こし得ることが明らかになっています。この研究では、ヨーロッパの労働者の3分の2以上が、仕事のストレスに対処するスキルを身につけるために、雇用主からもっとインプットを得る必要があると感じている、という事実が判明しました。同僚や上司にサポートされているという実感は、従業員のメンタルヘルスやウェルビーイングに良い影響を与え、ひいては企業の生産性や収益性を向上させることにつながるのです。  ((Two-thirds Of European Employees Experience Excessive Work-stress))

ポジティブなストレスの力を利用して、ネガティブなストレスを成長のチャンスに変換する

実際にその方法を知りたいという方は、まず私生活でちょっとしたチャレンジをすることから始めてみましょう。ジムに通う、自分の限界に挑戦する新しいスポーツに挑戦する、あるいはボランティアやチャリティーのプロジェクトに参加する、クラブに参加して新しい趣味やスキルを身につけるなど、何か新しいことをやってみましょう。

圧倒されそうになったときに心を落ち着かせ、コントロールを取り戻すのに最も効果的なテクニックのひとつは、アファメーションです。私は落ち着いている、私はリラックスしている、挑戦は私を成長させてくれる、私はどんな困難にも対処できる、私は強い、私は何でも達成できる、といったポジティブな言葉を自分にかけましょう。

メンタルヘルス財団は、ストレスの多い状況がもたらす悪影響を軽減するために、以下の10のステップを提案しています。

  1. ストレスが問題を引き起こしていることを認識し、警告のサインを無視しない
  2. 何を変えられるかを考え、優先順位をつけて、誰かに依頼できることは任せる
  3. 職場や家庭で協力的な人間関係を築く
  4. 健康的な食事をする
  5. アルコールは不安感に影響を与えるので摂取を控える
  6. 定期的に運動して、気分を高揚させる
  7. リラックスする時間を持ち、セルフケアを行う
  8. 瞑想やマインドフルネスを実践する
  9. ぐっすりと眠る
  10. 自分に優しく接する  ((Stress))

ハンス・セリエ博士のストレスに関する名言 ベスト5

  1. 「正しい心構えに適応すれば、マイナスのストレスをプラスに変えることができる」
  2. 「ストレスは必ずしも悪いものではなく、その受け止め方次第だ。爽快で創造的な成果を出す仕事に伴うストレスは有益である」
  3. 「長生きしたければ、貢献することに焦点を合わせなさい」
  4. 「不快な思考を消し去る最も効果的な方法は、楽しい何かに意識的に集中することだ」
  5. 「ストレスを避けようとしてはいけない。それは食べ物や愛情、運動を避けるようなものだ」

ストレスは誰にとっても避けて通れないものであり、ポジティブな状況でもネガティブな状況でも発生し得るものです。不利な出来事があっても、それにうまく対処することができれば、良い結果がもたらされることもあるのです。ストレスの兆候を早いうちに認識し、要求される範囲をできるだけ小さくしたり、対処能力を最大限に引き出したりするための行動をとることが自助になります。ポジティブなストレス、ユーストレスは、パフォーマンスを向上させ、決意を確かなものにし、楽観性をもたらし、将来的な課題に効果的に対処できるよう脳を鍛えてくれます。

  1. How to manage stress []
  2. Hans Selye (1907–1982):Founder of the stress theory []
  3. Stress and Coping Theories []
  4. Kelly McGonigal: Can We Reframe The Way We Think About Stress? []
  5. Mindset matters: the role of employees’ stress mindset for day-specific reactions to workload anticipation []