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サプリメントによる栄養補給で全般的な健やかさを目指すウェルネスの世界へようこそ。これから歩み始める方も、すでに旅を始めている方も、私たちが応援します。あなたをサポートする有用な情報とガイダンス、専門家の意見をここに集めました。権威ある確かな情報源をもとに、できるだけ読みやすくした信頼性の高い記事を掲載していますので、ぜひお役立て下さい。
腸と消化
秋と冬に適切な水分補給をするには
Reading Time: < 1 minute 秋のさわやかな朝にはパンプキンスパイスコーヒー、雪の降る冬の午後にはホットチョコレートをお供にしたくなるものですが、気温の低い時期こそ水分の摂取量を意識する必要があります。 水分補給は一年中重要です。水分は全体的な健康促進だけでなく、以下のようなメリットをもたらします。 老廃物を排出する より多くの栄養素を全身に運ぶ 腎臓とリンパの流れを助ける 心臓血管系に血液を巡らせる 便秘を予防し、お通じを整える 感染から体を守る皮膚を丈夫にする 鼻や口の中の粘膜を湿らせ、病気になるリスクを下げる この時期、汗をかくことは少なくなりますが、暑い季節と同じように水分補給が重要であることを心に留めておきましょう。 1日あたりの水分摂取量は体重1キロにつき1オンス以上(1オンス約30ml)が理想的です。さらに運動(トレーニング、ウォーキング、ヨガなど)を30分するごとに8オンス(約240ml)追加するのが望ましいとされています。 水分量は合算で達成できればよいのですが、水分補給に最も適している飲み物はろ過水とハーブティーです。 秋冬の水分補給を適切に行い、好ましい体調を維持するための方法を以下に5つご紹介します。 1. 朝一番で水分補給。目覚まし時計が鳴ったらすぐに、コップ1杯の新鮮な水で体を潤しましょう。睡眠中の発汗やデトックスで失われた水分を補給することができます。 2.温かいものを飲む。外の気温が下がると、温かい飲み物が欲しくなります。ハーブティーやコーヒーなど、体を温めるものを選んで、ひと息入れましょう。 3.スープを多めに作っておく。栄養と水分がたっぷりの自家製ボーンブロスやお気に入りのスープで、栄養と水分を同時に補給しましょう。 4.アイスキャンディーを常備する。秋から冬にかけては風邪やインフルエンザが流行しやすく、水分補給の重要性が高まります。風邪をひいてしまったときのために、ハーブエキスや電解質の含まれているアイスキャンディーを冷凍庫に常備しておきましょう(特に子どもにおすすめです)。 5.水分の多いものを食べる。秋には緑黄色野菜やリンゴ、冬には柑橘類が、水分補給に適した食べ物の代表格となります。 水分は一日中いつ摂っても構いませんが、いくつか注意すべき点があります。 食事の時間以外で積極的に水分を摂取しましょう。ある程度は食事と一緒でも良いのですが、消化に必要な酸や酵素を薄める可能性があるため、食事中の水分の摂り過ぎには注意が必要です。 夜中に排尿に起きてしまう場合は、就寝前の3~4時間の水分摂取を控えましょう。 カフェイン入りの飲料が睡眠の妨げとなる場合は、就寝前の6~11時間に摂らないようにしましょう。 水分補給は一見単純ながら、体に様々なメリットをもたらします。意識的に選択することで大きな違いが生まれるはずです。 それではさっそく、飲み物を用意しましょう。 参考資料: https://www.sleep.org/how-much-caffeine-should-i-have/ https://frontlineerdallas.com/10-tips-for-staying-hydrated-during-fall
栄養ぎっしりの冬の食材を楽しむ方法 10選
Reading Time: < 1 minute 冬は自然界では冬眠の季節です。人間にとっては新鮮な野菜が手に入りにくい時期と思えるかも知れません 夏の甘いイチゴや熟したトマトが恋しくなっても、心配は無用です。冬には冬の豊かな食材があります。栄養のぎっしりと詰まったおいしいものを楽しんでいれば、退屈することはありません。 ビタミン、抗酸化物質、フラボノイド、ミネラル、食物繊維など、栄養価の高い食材で食生活を楽しむ方法を以下に10種類ご紹介します。 1.カカオたっぷりのホットチョコレート。糖分が主役の従来のホットチョコレートを、カカオニブやカカオ75%以上のダークチョコレートでできているタイプに変えてみましょう。このスーパーフードのメチルキサンチンの働きで、気分のバランス調整や健康的な肺機能が期待できます。 2.スープにマッシュルーム、タマネギ、ニンニクを入れて。 ローストチキンや骨付き肉のステーキを焼いたときは、残りの骨をとっておきましょう。マッシュルームや玉ねぎのスライス、刻んだニンニク、その他お好みの野菜やハーブと水で4~6時間煮込むと、温かいスープになります。シチューのベースとして様々なアレンジを加えてもよいでしょう。体内の免疫系がきっと喜びます。 3.朝食に抹茶ワッフル。 週末のブランチにちょっとした工夫をしませんか。ワッフルやパンケーキのミックスに抹茶を入れてみて下さい。この強力な抗酸化物質は、お肌や心臓などあらゆる所に働きかけます。 4.豆類を加えたシチュー。 冬のシチューは、寒い日に帰宅したときに最適です。レンズ豆やインゲン豆を加えて食物繊維を増やし、亜鉛、鉄、マグネシウムなどの貴重なビタミンを摂取しましょう。 5.冬のグリーンスムージー。 タンポポの葉、ケール、コラードグリーン、スイスチャード、マスタードグリーンなど、緑の葉野菜をスムージーやスープ、ソース、シチューなどに加えて、肝臓をサポートし、炎症を鎮めましょう。 6.ザクロ。 このジューシーな果実の種にはポリフェノールと抗酸化物質がたっぷり含まれていて、生殖能力や免疫、心臓、口腔の健康を促進することが知られています。サラダに加えたり、おやつに食べたりすると、はっとするような酸味が加わって食も進みます。 7.アダプトゲンのお茶。 寒い時期は熱いお茶で体を温めたくなるものですが、アダプトゲンとなるハーブを使用したお茶を選べば、ストレスの緩和にも役立ちます。ホーリーバジル(カミメボウキ)やモリンガ、ネトル(セイヨウイラクサ)などのアダプトゲンを組み合わせてみて下さい。 8.しぼりたてのフレッシュジュース。 濃縮還元ジュースはやめて、自分で絞って飲むようにしましょう。 グレープフルーツ、オレンジ、ミカン、レモンは冬が旬です。ビタミンC、カリウム、食物繊維を含む、爽やかでパワフルな1杯になります。最大の効果を得るには、果肉も一緒に摂るのがおすすめです。 9.根菜類のロースト。 カボチャ、パースニップ、ビーツ、ニンジン、ルタバガといった冬の根菜は、食物繊維と抗酸化物質が豊富です。ローストにしたり、スープやシチュー、ソースやスムージーなどあらゆるものにアレンジしたりして、おいしく食べられます。 10.発酵食品。 ザワークラウト、キムチ、味噌、ケフィア、コンブチャなどの発酵食品で、季節を問わず腸内環境を良好に保ちましょう。冬は発酵食品の保存がしやすい季節です。風邪やインフルエンザが流行っていても、腸内細菌叢のバランスを整えることで免疫力をサポートすることができます。 冬の食生活の用意はできましたか。豊かな風味と栄養で楽しく過ごしましょう。上記のアイデアをヒントに、体にメリットをもたらす季節の食材を積極的に試してみて下さい。 参考資料: https://slowfoodusa.org/winter-eating-in-your-region/ https://extension.psu.edu/eating-seasonally-and-locally-in-the-winter
深まる秋に旬を味わう
Reading Time: < 1 minute 自然の彩りの変化、朝の清々しさ、夕暮れ時の心地よさは秋が多くの人に愛される理由です。加えて、お皿に栄養価の高い食べ物が並び、おいしく楽しめることを喜んでいる人もたくさんいるでしょう。 それは実に好都合なことです。いつでも好きなときに好きなものを食べられる現代社会では、冬にベリーを手に入れるのも、秋にアスパラガスを味わうのも簡単なことです。しかし、地球は本来、通年同じように食べ物をもたらす仕組みにはなっていません。 私たちの祖先は何千年もの間、季節とともに暮らしてきました。そして、それを生きていくために必要なことだと考えていました。旬の食材は機能性の面から言っても生活に欠かせないものでした。慎重に生活する必要がない現代とは事情が大きく違ったのです。 秋は1年の中でも特に、大地やそこから得られる収穫物とのつながりが大切にされてきた季節です。季節の移り変わりを楽しみ、季節に応じた暮らし方を学ぶよう、マインドフルに意識してみましょう。 リセットのタイミング 秋になると、自然はゆっくりとペースをゆるめていきます。日が短くなって気温が下がり、落ち葉が散る頃になると、あれこれと振り返って気付きを得る時間ができるはずです。まさにリセットにぴったりの時期で、特に食生活を見直すのに適しています。 新しい季節に応じた新しい目標を設定して、体内に蓄積された有害物質や古くなった細胞を浄化し、消化器系を休ませ、新鮮な旬のものを味わいましょう。 例えば、こんな方法があります。 断続的断食 – 食事をとる時間帯を8時間以内に制限する 断食 – 一定期間、食事をしない状態を維持する 除去食 – 砂糖、乳製品、グルテンなどの食物過敏症の原因となるものを除去する 修正食 – オーガニックか未加工の果物、野菜、全粒穀物、体に良い脂肪、赤身のタンパク質など、特定の食品のみを選ぶ 適切な水分補給 – 気温の低い時期にも適切な水分を補給する リセットは、1~3日、1週間、またはそれ以上と、簡単にも集中的にも、自分の好きなように行うことができます。ただし、本格的な断食などの大幅な食事の変更には、医療従事者の監視が必要です。始める前にきちんと準備をしておきましょう。 リセットの計画の主なポイントは以下の通りです。 いつ、何を食べるのか、綿密な計画を立てる 必要な食べ物をストックしておく 適切な調理器具をそろえる 励ましになるよう、家族、友人、栄養カウンセラー、医療従事者、オンラインサポートグループとやり取りをする 栄養補給 新たなスタートを切ったなら、適切な栄養補給をしながら前進あるのみです。秋にはそのための方法がたくさんあります。 まず、夏の冷たい食べ物から秋の温かい食べ物へと変えていきましょう。生や非加熱で口にしていたものを、以下のように変えてみましょう。 お野菜はローストで 果物はベイクして 低脂肪のタンパク質に火を通して コンソメスープを自家製で 温かいシチューや汁もの 温かいお茶やコーヒー 次に、地元の青空市場や季節の食材を扱う食料品店などで以下のような自然の恵みを手に入れましょう。 根菜類(サツマイモ、ニンジン、カブ、ルタバガ、ビーツなど) 南瓜(栗かぼちゃ、バターナッツ、デリカータスクワッシュなど) ペポカボチャ(パンプキン、金糸瓜など) ケール ルッコラ リンゴ 洋梨 ザクロ クランベリー イチジク ブラッセル・スプラウト カリフラワー そして、料理に時間を費やして、お気に入りのレシピや新しいレシピで秋の味覚を食卓にのせましょう。食事の際はゆっくりしっかりと噛んで味わって下さい。愛情と栄養のたっぷりこもったお料理を他の人と一緒に食べるのも良いものです。 気温が下がるにつれて風味の増すものは、パンプキンフレーバー入りのカプチーノやサツマイモ風味のおやつといったように様々にアレンジされています。他にも、幅広い楽しみ方を見つけて下さい。 自分の体の働きをリセットする方法を考え、適切な栄養補給をして、実りある健康的な秋を過ごしましょう。 参考資料:https://shawellnessclinic.com/en/shamagazine/the-seasonal-foods-you-should-be-eating-this-autumn/https://platefulnutrition.co/5-tips-for-transitioning-into-fall/
睡眠と腸の健康の関係とは
Reading Time: < 1 minute 私たちの体の仕組みは実に素晴らしくも奇妙でもあります。 不思議に思われるかも知れませんが、体のある部分に影響する要因が、まったく別の部分にも影響を及ぼすことがあります。腸の健康と睡眠には、そのような関係があると考えられています。 腸は伝統的な意味で考えたり感じたりすることはできません。それでいて、体の他の部分である脳とコミュニケーションをとることができ、結果的に気分や食欲、ストレス度、睡眠などあらゆる面に影響を及ぼします。腸の具合が良くないと、その不調が脳に伝わって睡眠に影響が出る、というのも、そのような関連性の現れとして理解できます。 腸と脳 ー 興味深い関連性 腸と脳の関係について、もう少し詳しく見てみましょう。脳の基本的な役割は体の司令塔であり、体に何をすべきかを指示し、それぞれのシステムがどのように働くべきかを伝えています。医学・生理学の教授で『腸と脳』の著者であるエムラン・メイヤー博士によると、腸と脳はひときわ丈夫に、複雑にできているということです。腸内の微生物にはシグナル伝達のメカニズムがあり、これにより脳と腸が直接コミュニケーションをとっていることが示されました。そして睡眠もまた、その影響を受けると考えられています。研究によると、微生物叢の組成は時期によって変動し、それが睡眠遺伝子のプログラムに関わること1 、また、睡眠が妨げられると腸内微生物叢が実際に変化することが分かっています。 腸の好きな脳にする方法 腸内細菌の種類が多様であれば、脳がより良い睡眠を促す信号を送ることが研究で示されました。 2 とはいえ、腸内細菌の多様性が必要であると知っていることと、それを手に入れることは別物なので、実情は単純ではありませんが、多種多様な腸内細菌の繁殖を促すために、私たちにできることは色々とあります。プロバイオティクスのサプリメントを摂取すると、幅広い善玉菌の増殖を助けられることは多くの研究から明らかになっています。 3 健康的な食生活も有効です。ケフィア、キムチ、ザワークラウトなどの天然発酵食品を日常的に食べると、それぞれから異なる種類の善玉菌を得ることができ、好ましい腸内細菌の増殖に役立ちます。 睡眠が腸内環境に及ぼす影響 腸内環境が睡眠の質に影響することに加えて、睡眠の質が腸の健康にどう影響するかも重要です。睡眠不足はストレス増につながり、リーキーガットと呼ばれる腸管透過性の問題を引き起こす可能性があります。リーキーガット(腸もれ)とは、食物や毒素が腸からもれて血流に入り込み、膨満感や炎症、腹痛、腸内細菌叢の変化などの問題を引き起こす症状です。 4 睡眠不足は食生活の選択にも影響を及ぼします。それは、十分な休息がとれていないと、空腹感をコントロールするホルモンのバランスが崩れてしまうからです。睡眠不足になると空腹感を制御するホルモンのバランスが崩れ、食欲が増し、手っ取り早くエネルギーを補給しようとして炭水化物や糖分に手が伸びがちになります。最後になりますが、食事の時間帯も腸内細菌叢に影響します 5 。就寝時間に近い深夜に食事をすると、消化のことで脳がいっぱいになって、体が睡眠や回復に集中できなくなります。 腸と脳がつながっているように、腸と睡眠もつながっています。どちらも大切にして、互いに良好な状態にすることが大切です。腸内環境を整えるために、良質な睡眠を確保しましょう。そうすれば、ぐっすり眠れるように腸も助けてくれます。 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6290721/ [↩]https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3577372/ [↩]https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S2221169111601743 [↩]https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fncel.2015.00392/full [↩]https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1002/mnfr.201900867 [↩]
腸の健康
Reading Time: 3 minutes 健康な腸内細菌叢が重要な理由 腸は健康全般の基礎となる、いわば健康のゆりかごです1。表面積が大きく、独自のエコシステムを有する腸は、体内でも特に重要な臓器です。健康な腸内細菌叢の中にはヒトの免疫細胞の80%が存在し、細菌などあらゆる病原体から体を守る盾として大きな役割を担っています。2 消化管が私たちの健康全般を映す鏡であることはぜひとも心に留めておいて下さい。ベストな自分でいるには、腸が必要とするサポートとケアを行き届かせることが重要なのです。腸に良いものは体に良いもの、と心得ましょう。腸の健康と全般的な健康 は、まさに表裏一体です。多様性に富んだ健康な腸内細菌の存在は、免疫系のサポートに役立ちます。腸内で活躍する細菌を応援するには、プロバイオティクスとプレバイオティクスに相当する食品を日常的に食べるのが一番です。 プロバイオティクスとプレバイオティクスの違い 腸の健康について語るとき、プロバイオティクスとプレバイオティクスという用語がよく出てきます。まずはそれぞれの意味を確認しておきましょう。プレバイオティクスは植物性食品に含まれる食物繊維のことです。食物繊維はヒトの体内では消化できませんが、腸内細菌にとってはとても重要な栄養源になります。ですから、プレバイオティクスを摂取することは自ずと腸内細菌叢の改善につながります。典型的な例はマメ類ですが、詳しくは後ほどお話しします。プロバイオティクスは微生物のうち、消化管内の腸内細菌叢に局所的に定着して、自然な腸機能を助けるものです。バランスのとれた健康的な消化器官を保つには、プレバイオティクスとプロバイオティクスの両方を定期的に摂取する必要があります。それが腸機能を調節し、便秘や下痢を防いでくれます。嬉しいことに、すでに身近にある食品が有効に活用できます。 腸の働きとは 消化管はいくつかの組織で構成されています。免疫系にとって最も重要なのは、大腸と小腸です。大腸は免疫の防御面の主力であるとともに、水分とミネラルバランスの維持という重要な役割も果たしています。一方、小腸は主に消化を行う所で、栄養素の吸収を担っています。あらゆる食品から得られる栄養素は、ここで体内に取り込まれています。全身の健康のために、働きものの腸は、栄養素をしっかりと吸収しつつ、細菌、真菌、その他の病原体を撃退してくれています。加えて、腸は常に免疫監視を行っています。健康な腸粘膜は、毒素を特定し、最速の経路で体外へ排出することができます。 ヒトの体内の微生物叢 腸の健康を話題にするとき、プロバイオティクスとプレバイオティクスに加えて、必ず目にする用語が腸内細菌叢です。その正体と日常生活にもたらす影響について、専門医のシュテファン・フェイド博士の解説を以下にまとめましたのでご覧下さい。 写真: シュテファン・フェイド博士 「腸内細菌叢とは、ヒトの体内で生きている微生物の総称で、その数は百兆にのぼるとも言われています」 – シュテファン・フェイド博士、糖尿病専門医、一般医学・環境医学・スポーツ医学のスペシャリスト 腸内細菌叢とは 腸内細菌叢は膨大な数の微生物で構成されています。そこには様々な種類の単細胞生物と細菌、真菌、ウイルスがいます。腸内細菌叢はヒトの消化器官において非常に重要な存在です。食べたものが適切に消化されるよう助けるだけでなく、腸そのもの、そして全身が健康な状態を維持できるよう働いています。 腸内細菌叢の役割とは フェイド博士は腸内細菌叢の働きを以下のように説明しています。 「腸内細菌叢の働きで、必須ビタミンB1, B2, B12とビタミンK、そして酢酸や酪酸などの短鎖 脂肪酸 が作られます。脂肪酸は腸粘膜細胞にとってエネルギー源となり、腸の動きが促進されます。腸内細菌叢にはまた、炎症と闘う体を助け、有害物質を解毒し、免疫系をサポートする働きもあります。」– シュテファン・フェイド博士、糖尿病専門医、一般医学・環境医学・スポーツ医学のスペシャリスト つまり、微小ながらも、病気と闘うための免疫反応をサポートしたり、体に不可欠な働きをしたりと、私たちを助けてくれているのです 腸内細菌叢を守る微生物のためにできること 腸内細菌叢をサポートする最も重要な方法は、 健康的な食事 です。特に野菜を発酵させたものは簡単に用意でき、体に良い食事の基礎となる食品で、腸のためにも望ましいと言えます。腸内細菌叢を大切にしたい方はまずここからスタートして下さい。 腸を元気にするには 腸の健康を促進したい人が取り組むべきは、 日常生活に運動を取り入れること、十分な睡眠をとること、そして最も重要なのは、 健康的な食事をする. ことです。腸に優しい食事は最も重要な課題です。しかも、思ったよりも簡単に達成できます。より具体的に考えられるように、健康的な食事について以下、詳しく見ていきます。その前にもうひとつ、原則として、腸を最良の状態にしたいなら、ストレスを避け、タバコをやめ、ある種の薬も控えて下さい。 日常生活を通じて腸内細菌叢を改善 毎日のちょっとした習慣の積み重ねで、腸の健康に良い影響を及ぼすことができます。十分な睡眠の確保は健康全般に望ましいことですが、 夜ぐっすりと眠ることの真の重要性 はご存じですか。いつも疲れていると、体をきちんとリラックスさせることができず、ストレスの影響を受けやすくなります。そうなると病原体が足場を見つけてとりつく可能性が大幅に高まります。これは何としても避けたいはずです。消化管を刺激し、消化を促進するためには、時々お腹のマッサージをするとよいでしょう。これは便秘の予防になるだけでなく、腸を程よくリラックスさせ、ストレスを軽減します。定期的に体を動かし、運動で ストレスを解消する ことは、腸内細菌叢の改善においても重要な要素です。ぜひ日常生活の一部として下さい。ある種の抗生物質など、一部の薬品は、副作用で腸内細菌叢を損傷する場合があります。それは「悪い」細菌とともに「良い」腸内細菌まで標的になってしまうからです。こういった薬で 耐性 がつくと、炎症や下痢などの症状を生じやすくなることがあります。過敏性腸症候群などの症状に苦しみたくないなら、タバコやアルコールの飲みすぎ、ストレス、その他の要因を避ける必要があります3。 腸に優しい食事 バランスの取れた適切な食事は、腸の健康に不可欠です。腸の健康維持を目的とする場合でも、もちろん重要です。これを念頭に、腸に特に有益な食品をさらに詳しく見ていきましょう。健康に良い食品を選ぶことは非常に重要で、その影響は全般的な健康状態にも及びます。ですから、腸に優しい食事の健康効果は、腸だけにとどまるものではありません。以下をヒントに、新しい料理を試してみることをおすすめします。 腸に良い食品とは 腸の健康に特に有益な食品はある程度分かっています。上記で強調したように、食事を通じてプロバイオティクスとプレバイオティクスの摂取量を増やすことは、腸に大きく寄与します。腸内のエコシステムに最良のサポートを、と望むなら両方が必要です。発酵食品は腸にとって特に良い食べ物です。何を食べるにしても、体にストレスがかからないように、ゆったりと心を落ち着けて食事をするのも大切です。時間をかけ、よく噛んで食べましょう。 発酵とは 食品を発酵させると何が起こるのかご存じでしょうか。発酵により食品に生じる変化は、細胞や真菌(微生物)の培養活動による代謝に由来します。発酵過程を経た食品は、完成したら可能な限り早めに食べるようにしましょう。それは、あまり長く放置すると好ましい微生物が死んでしまうからです。発酵食品は腸に優しい食事に最適です。様々な発酵食品がありますので、味わってみて下さい。 クリックで各食品の解説を表示 ヨーグルト、ケフィア X ヨーグルト、ケフィア 「体内の微生物叢に良いことをしようと思うなら、栄養は基本的な出発点になります。なかでも有益な食品はいくつかあります – […]
リーキーガット症候群
Reading Time: 2 minutes リーキーガット – 腸管壁浸漏症候群とは? リーキーガット、あるいは「腸管壁浸漏症候群」とは、主に小腸の腸壁を保護するバリアに障害が生じる健康問題です。語源は英語の leaky (漏れる)gut(腸)で、「腸もれ」とも呼ばれています。腸に「漏れ」があると、細胞層を透過して細菌やその他の毒素が血液中に入ってくることがあります。これはリウマチ1 や橋本病2など幅広い自己免疫疾患と深く関連しています。腸漏れは小腸表面の細胞の結合を弱めます。その原因としては、ストレスの多い生活習慣や乏しい食生活、ある種の薬(特にアスピリンや非ステロイド性抗炎症薬)、環境中の毒素などが知られています。 腸管バリアの構造 腸は腸管細胞と様々な構造物によって保護されています。腸は主に腸管細胞、腸内細菌叢、腸粘膜で構成されていて、それぞれに異なる機能を担い、腸を保護する役割を果たしています。 粘液層 病原菌から腸管を守る第一のバリアとなるゼラチン質の層 腸内細菌叢 何兆個もの腸内細菌が存在し、腸を保護 健康的な腸内細菌叢では毒素やバクテリアが駆逐される 「腸管免疫」3 病原菌や酵母が過剰に増殖すると、腸内環境の保護機能が低下することがある 腸管粘膜 粘液層の下に位置する タンパク質の一種「ゾヌリン」を主体とするタンパク質構造、タイトジャンクションによって結合 リーキーガット症候群は3つの腸のバリアのすべてに直接影響を及ぼします。特に、タイトジャンクションが働かなくなると、腸の透過作用が細菌やウイルス、環境毒素、消化不良の食品などの侵入を許してしまい、結果的に炎症や病気を生じる可能性があります。 リーキーガットの兆候 腸漏れが引き起こす症状は人によって様々ですが、これといった症状の出ない人もいます。腸のバランスの崩れは、腹部の膨張や下痢、便秘など、消化器系の問題につながることがあります。4 リーキーガット症候群には個人差があるため、罹患していても、自分の消化器系の不調からリーキーガットに思い至らないこともしばしばです。不快な症状は何らかの炎症が引き金になっているのだろう、という思い込みはよくあります。最近の研究では、関節リウマチ5、リウマチ6や橋本甲状腺炎7などの自己免疫疾患8、さらには精神疾患9などの病気との相関性も指摘されています。 リーキーガット症候群の原因 リーキーガット症候群はしばしば、ストレスの重なる多忙な生活習慣に起因します。日常生活の中でストレスがたまると、不健康な食事をしてしまうことがあります。糖分の多い食品や酒類の消費が増える人もいるでしょう。基本的な原則としては、アルコールや砂糖、高度に加工精製された食品の消費が増えると、健康を損ないがちです。その影響は身体的にも全般的にも及び、ひいてはリーキーガット症候群を招く可能性があります。10 ストレスの多いライフスタイルや不健康な食生活に加えて、非ステロイド性抗炎症薬などの薬の服用も腸の細胞に影響を与え、リーキーガットにつながることがあります。11 また、腸に既往症があると、リーキーガット症候群になりやすい傾向があります。 リーキーガットの診断 リーキーガットを診断するには、腸の粘膜の保護機能が正常に働いているかどうかを調べる必要があります。医師は様々な方法で異常や不調を見極めますが、まず最初に、患者の詳細な病歴を確認して、どのような症状がいつから発症したのかを正確に把握することが重要です。どんな病気でもそうですが、腸管粘膜や腸内細菌叢の状態についても、便、血液、尿などを試料とした検査である程度のことが分かります。検便と血液検査を併せて行うのが有用であることは科学的にも証明されています。12リーキーガット症候群が疑われる場合、ゾヌリン量を調べる検査が可能です。ゾヌリンは、腸壁のタイトジャンクションを調節したり、腸管の透過性を高めたりするタンパク質です。ゾヌリンが小腸を覆う細胞間から血液中に移動することで、腸の透過性が高まる可能性があります。ゾヌリンは様々な刺激を受けて腸管粘膜から分泌されます。したがって、ゾヌリンは、腸の透過性が過度になっているかどうかを判断するのに適した指標になります。13 血液サンプル中のゾヌリン量が多いと、リーキーガット症候群と考えられます。また血中にゾヌリンの抗体が検出された場合は、腸漏れが長期間続いていた可能性を示しています。 リーキーガットに有効な対策とは T腸の健康をサポートするには、しっかりと体を動かしたり、ストレスを軽減したり、健康的な食事をしたりといったように、様々な方法があります。栄養学の世界では、どんな食べ物が精神面の健康に関係しているのか、そして、適切な食事がストレスの軽減にどのように貢献するのか、について研究が進められてきました14。 亜鉛のように、免疫系の正常な機能に寄与するミネラルを適切に摂取することも有益と考えられます。それは、腸の健康が全身の健康と密接に関連しているからです。15 リーキーガット対策に役立つ食生活上の助言として繰り返し確かめられているのは、低グルテン・低糖質の食事が重要な役割を果たす、というものです。また、リーキーガットの予防には、加工食品の摂取をできるだけ減らすことが推奨されています。16 適度な運動を 定期的な運動は健康的なライフスタイルの重要な構成要素であり、免疫系の健康にも貢献します。17 運動を日常生活の一部に して、ジョギングやサイクリングなどで体を動かしましょう。特に屋外の新鮮な空気の中で運動すると、血流促進に効果的です。18 しっかりと体を動かすことで、腸の血行も促進され、便秘や腹部膨満を予防することができます。 正しい食生活でリーキーガット予防 「食生活を通じて特定の栄養素を摂取することで、体を元気にし修復を進め、リーキーガットから回復できます。体には腸漏れを修復する力がありますが、そのためには体が必要とするものを与え、阻害する要因を取り除いてやらなければなりません。」 健康的な食事は腸漏れの予防にも、腸の健康促進にも役立ちます。リーキーガット症候群と判明した場合は、少なくとも一定期間、低レクチン食にすることでメリットが得られるかも知れません。レクチンは多くの食品に含まれるタンパク質の一種で、特に穀物や豆類に豊富に存在しますが、加圧調理である程度分解されます。19 レクチンを含有する食品が必ずしも悪いわけではありませんが、大量に摂取すると腸漏れの治癒を遅らせる可能性があります。それは、摂取したレクチンが腸を守るバリアを攻撃してしまうことがあるからです。食生活で改善したい場合は、栄養分野で経験があり、リーキーガットの修復に詳しい専門家に相談しながら取り組んで下さい。 強化と鎮静にアロエベラ アロエベラのジェルはトラブルのある肌に良いと多くの使用者に支持されています。アロエは、皮膚の炎症や日焼けを治す手助けをしてくれます。ドワイト・マッキー博士によると、この好ましい作用を腸管粘膜に応用して、リーキーガットの症状緩和に役立てることができそうだということです。 「アロエベラは皮膚を癒す最高の薬草のひとつです。消化管の内壁は内なる皮膚であり、上皮組織なのです。」 リーキーガット症候群の治療に役立つ、その他のアイデア リーキーガット症候群の症状緩和には、ホリスティックに、全体的なアプローチを試みるべきです。腸には常に水を供給し、潤いを保って下さい。また、腸漏れが気になるなら、食生活を改善しましょう。治癒を促進する栄養素を豊富に含む食品をより多く食べ、高度に加工された食品や糖分の多い食品は避けることです。20 十分な睡眠をとって、ストレスを避けるのも、適切な食事や定期的な運動と同様に重要です。薬の頻繁な服用、特に抗生物質や非ステロイド性抗炎症薬は、腸内細菌叢の健康にも悪影響を及ぼす可能性があります。21 ですから、薬で腸に余計なストレスをかけないように医師と相談して、必要な時だけ適切に服用するようにしましょう。 リーキーガットのリスク リーキーガット症候群は全身に様々な影響を及ぼします。通常、毒素は腸でろ過され除去されていきますが、腸漏れがあると血液中に入り込んでしまうことがあります。持病があるか、他に危険因子を抱えている場合、状況によってはリウマチ22や橋本病23 のような自己免疫の問題を生じる可能性があります。 心当たりがあるなら、早めにリーキーガットに詳しい医師の診察を受けましょう。リーキーガットを早期に発見して、腸内細菌叢を活性化し、腸の再生を促進することができます。 リーキーガットの予防:腸内細菌叢を健康に […]
夏のスキンケア
Reading Time: < 1 minute 暑い季節も絶好調のお肌でいるために 夏はとても楽しみな季節ですが、お肌のトラブルが起こりやすい時期でもあります。腸の健康状態や食品、アレルギーのほか、天候、汚染、その他の季節的な要因も肌荒れの一因となります。 お肌にとって辛いのは、冬の寒い時期だと思っている方は多いでしょう。ところが夏には夏の悩みがあり、湿疹、乾癬、発疹などでお肌が荒れてしまうことがあります。アレルギー(季節ごとに異なるアレルゲンが空気中に浮遊しています)、汚染、食べ物や食生活の変化などの要因も、気温の高くなる時期に必要なスキンケアに影響を及ぼします。 夏には夏のスキンケアが必要な理由とは 夏のスキンケアには、秋や冬とは異なるお手入れが必要です。それは、季節や天候が変われば、他の時期には気にならないことが原因となってトラブルをもたらすことがあるからです。 湿疹 湿疹はアトピー性皮膚炎とも呼ばれるアレルギー性の皮膚炎で、中程度から強度のかゆみと赤い発疹を引き起こします。湿疹は刺激物やアレルゲンに対する体の過剰な免疫反応であると考えられています。また、家族に罹患者のいる人に多く認められる傾向があります。実際に症状のある人々は、非常に強い不快感に苦しんでいます。 乾癬 乾癬は慢性的な自己免疫疾患の一種です。皮膚細胞のターンオーバーが急速化しすぎて、患部にかゆみが生じたり、皮膚が厚くなって表面がぽろぽろと剥がれ落ちたりします。乾癬を発症した人にとって、日光は有効なので(光線療法になる)、夏は軽快する時期にあたります。また、夏の間は世界の多くの地域で湿度が高くなり、これが症状に悩む人を助けてくれます。 夏のスキンケアについて知っておきたいこと 夏の肌トラブルを回避するポイントは、何がコンディションを悪化させるのかを見極めて、それにさらされないようにすることです。夏にお肌が荒れやすい場合は、新しいクリームやローション、石鹸、洗剤(洗濯用や食器洗い用を含め)が原因となっていないか、確認してみましょう。 湿疹や乾癬は夏場の猛暑のような気温の変化で悪化することがあるので、運動後や汗をかいた後はしっかりと洗い流し、きちんと保湿した上で余分な水分を除き、清潔な肌を保つようにしましょう。保湿にはココナッツオイルやオリーブオイルなどの天然オイルを使うのがベストです。合成化学物質を使用した市販の製品は、刺激の強いものが多く夏の肌トラブルのもとになりやすいので避けた方がよいでしょう。乾燥の強い地域で暮らしている場合は、加湿器がおすすめです。ちょっと奮発して、家庭やオフィスに質の高い空気清浄機を導入するのもよいでしょう。家の中にほこりやふけが積もらないように、こまめに掃除することも大切です。 食生活と夏の肌トラブルの関係 乾癬が腸に起因する問題である可能性に着目したある研究では、ケルセチンなど特定のフラボノイドが乾癬の症状につながる毒素の吸収を防ぐのに役立つことが示されています。1 ケルセチンは、葉野菜、玉ねぎ、柑橘類、多くのベリー類、リンゴ、ハチミツなどの食品に含まれているほか、サプリメントも利用できます。パイナップルに含まれる酵素、ブロメラインと一緒に摂取すると、効率的に吸収されます。チェリー、脂肪分の多い魚、緑茶、ダークチョコレートなどは、抗炎症作用のある食品です。炎症対策には腸の健康が不可欠であることを念頭に置いておきましょう。 ストレスとお肌の関係 ストレスは免疫系を過剰に刺激し、体内のホルモンバランスを乱して、あらゆる肌トラブルを悪化させる可能性があります。物理刺激やアレルゲンに触れないようにするのと同じように、不必要なストレスや不安を避け、優先順位に応じたライフスタイルで心身をケアし、ポジティブで健やかな状態でいられるように心がけて下さい。時には、職場や個人的な人間関係で、避けようのない状況に陥ることもあるでしょう。ですから、ストレスの重なりやすい時期にも対処できるよう、自分に合ったセルフケアの手段をいくつか知っておくことは大切です。ヨガ、瞑想、定期的な運動、そして、きちんと食べてしっかり眠ることはセルフケアの基礎となります。健全な友人関係や人間関係を優先することもまた、ストレスやネガティブな人、好ましくない状況に対処する手立てとなります。 夏のスキンケアのポイント 自宅にアロエはありますか。アロエは手間のかからない観葉植物で、通年緑を添えてくれるだけでなく、肌に塗るととても優れた保湿剤になります。 一にも二にも水分補給を忘れずに。水はとても大切です。1日を通じてたっぷりと水を飲むだけでなく、みずみずしい野菜と果物を積極的に食べましょう。 シャワーを浴びた後は、水分を含んだ肌に天然オイルを含むボディローションやボディバターを塗って、潤いを閉じ込めましょう。ホホバオイル、シアバター、アーモンドオイルといった成分には、肌に必要な栄養素が豊富に含まれています。 近くに海があるなら、海水浴に出かけましょう。海水は乾癬対策になります。エプソムソルトの入浴剤を使ったお風呂もおすすめです。 太陽の力を最大限に活用 ビタミンDは、免疫力と精神面の健康にとって特に重要なビタミンです(実はホルモンでもあります)。最も優れたビタミンDを得るには、直射日光(窓を通してではなく)を皮膚に吸収させて体内で産生するのが一番ですが、必要充分な日光を浴びつつも過度にならないよう、バランスをとるのがポイントです。一般的には、温帯地域であれば、春の終わりから初秋にかけて週に数回、日焼け止めを塗らずに10分から30分の日光浴をすることが望まれます。肌の色が薄い人の場合、日焼けしないように実行するのは少し難しいでしょう。肌の色が濃い人は、やや長めに、あるいはより頻繁に日光を浴びる必要があるかも知れません。 暖かく日差しの強まる日中には10分から30分程度、短パンやTシャツを着て、直射日光を浴びるようにしましょう。ダメージと早期老化から顔のお肌を守るため、帽子とサングラスを着用して下さい。 夏のスキンケアで最も重要なのは、日焼け止めを塗るのを忘れないようにすることではないでしょうか。日焼け止めは有害な太陽光線(短波紫外線)を物理的にブロックするもの(酸化亜鉛や二酸化チタンを含有する、鉱物系、ミネラルタイプとして知られているもの)を選ぶとよいでしょう。肌から吸収される有害な化学物質は使われていません。あるいは、衣類で覆うのも有効です。乾癬がある部分は5分以上、直射日光にさらしましょう。ただし、日焼けすると悪化する可能性があるので、注意して下さい。非鉱物性の日焼け止めは内分泌系やホルモンの乱れを引き起こす可能性があります。アメリカ国立海洋局の調査によると、サンゴ礁やその他の水中の生態系を守るためにも、日陰や衣類を積極的に利用し、日焼け止めはミネラルタイプを選ぶのが望ましいということです。2 最後になりますが、できれば配偶者やパートナーと協力して肌の違いの状態をチェックし、気づいたことを一通りノートに書き出して、季節ごとに記録をつけて下さい。これは経年変化を比較する資料として役立つ可能性があります。これは定期的なセルフケアとしてもおすすめです。皮膚の状態を把握して、気になる所があれば医師に相談しましょう。ほくろを生検に出す必要があるか、慎重に経過観察をするか判断したり、病変を識別したりする際にも記録があると有用です。 Ely, P. Haines.“Is Psoriasis a Bowel Disease?Successful Treatment with Bile Acids and Bioflavonoids Suggests It Is.” Clinics in Dermatology, vol. 36, no. 3, 2018, pp. 376–389., doi:10.1016/j.clindermatol.2018.03.011. [↩]https://oceanservice.noaa.gov/news/sunscreen-corals.html […]
一にも二にも、水分補給:水の重要性
Reading Time: < 1 minute 水は生きていくうえで欠かせないものです。人体の約60%は水分で構成されているので、水分を補給せずにいると、脱水症や病気になる危険性があります。私たちは文字通り、水なしでは生きていけないのです 体内の水分は老廃物とともに排泄されるだけでなく、呼吸や発汗、消化などによって、定期的に失われています。だからこそ、毎日水をたっぷり飲んで水分補給を続けることが大切なのです。 水を飲むことで得られる多くのメリット 水を飲むことで得られるメリットの中でも特に明白かつ直接的なのは、のどの渇きを感じないことです。夏の暑い日に水を渇望したことがある人なら、のどがカラカラになる感覚がいかに不快なものか、よくご存知でしょう。水を飲むことの利点は他にもたくさんあります。水は外見だけでなく、心身の健康にも影響を及ぼします。 体重管理に役立つ水 水はカロリーがゼロで、満腹感を保つのに役立ちます。メリットはそれだけではありません。食事の前に水を飲むと食欲が抑えられるとともに、摂取したカロリーを燃焼しやすいよう補助をすることが明らかになっています。 1 水がさらにすばらしいのは、特に他に変わったことをしなくても、水を飲むことでカロリーの燃焼量を増やせるという点です。 1 研究によると、半リットルほどの水を飲むと、23カロリー多めに燃焼されることが示されています。さほど大きな違いには思えないかも知れませんが、年間で計算すると、約17,000カロリー、脂肪相当で2kg(4.4ポンド)以上の燃焼を促進できることになります。 消化を助ける水 食べた物を分解し、消化管内をスムーズに通過させ、健康維持に必要なミネラルやその他の栄養素を吸収するにも、水が活躍しています。水は胃や腸を通過しながら食物繊維が「こびりつく」のを防ぎ、便を軟らかくして便秘を解消し、老廃物を排出してくれます。水を飲むタイミングも重要で、食前に飲むのがベストです。それは、食後すぐに水を飲むと、栄養素の吸収を助ける消化液が薄まってしまうからです。 水で関節を健康に 水を飲むことの大切さは関節にも及びます。水は組織や関節、脊髄を保護し、特に鼻や目などの乾燥しやすいデリケートな部分の潤いを適切に維持します。また、血液、骨、脳を保護したり、関節のクッションとしての役割を果たすことによりショックを軽減して怪我のリスクを抑制したりといった働きもあります。2 水でお肌の調子を整える 数々の研究が示すように、水はお肌にとても良いものです。 3 特に顔の印象に関して、内側から潤いを与えることの重要性が繰り返し強調されています。吹き出物やシミ、炎症は毒素が原因であり、毒素を取り除くための最良の方法は洗い流すことです。そのために必要なのが水なのです。これに加えて、水は酸素と栄養素を皮膚細胞に運び、早期老化を抑えるのに役立ちます。ですから毒素には普段から気をつけているという方も、1日にグラス8杯の水を飲むことが望まれます。 どのくらい飲めば適量か 水を飲むことのメリットは明らかです。ライフプラス財団をはじめ、多くの慈善団体が、世界中の発展途上国の水不足の問題解決に取り組んでいるのもそのためです。一般的には1日にグラス8杯の水を飲むべきだと言われています。これは良い目安になりますが、実際にはこの数字がどこから出てきたのかは定かではありません。さらに、人によって必要な水の量は異なり、他の人よりもずっと多いこともあれば、はるかに少ないこともあり得ます。例えば、激しい運動をすると発汗量が増えるだけでなく、呼吸でもより多くの水分を失うことになりますので、コンピュータの前に座っている人よりも多くの水分が必要になります。同様に、温暖な地域に住んでいる人は、涼しい気候の土地に住んでいる人よりも多くの水分を摂取する必要があります。 重要なのは、個人のニーズを自分でよく考えることです。頭痛や疲労感、集中力の低下といった、脱水症状の兆候に気をつけましょう。水の飲み方には様々な手段があります。ピュアな水が苦手な場合はほんの少し風味をつけてもよいでしょう。水はお茶、コーヒー、食品にも含まれています。果物や野菜に含まれている水分も重要です。のどが渇いているときには必ず、渇きを癒すのに十分な量の水を飲んで下さい。 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19661958/ [↩] [↩]https://www.ibji.com/blog/orthopedic-care/3-awesome-benefits-of-drinking-water/ [↩]https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4529263/ [↩]
腸の健康を大切に
Reading Time: < 1 minute 腸をケアして、健康を維持しましょう 腸の健康が重視される理由について、考えてみたことはありますか。腸の働きは世界各地の健康法で長きにわたって注目されてきましたが、現代医学でも主流のトピックのひとつとして認識されています。私たちの腸の内部には、驚くほど幅広い種類の微生物がいます。そして、栄養の消化吸収や免疫機能、果ては脳の機能まで、体内のあらゆる活動に関与しています。このように腸は様々な過程の中心になっているため、健康な状態に保つことはとても大切です。 プロバイオティクスで腸を健康に プロバイオティクスは体に良い微生物で、サプリメントや食品から摂取でき、体内でコロニーを形成(腸内に群生、増殖、共存)します。 プロバイオティクスの自然な活動がもたらす利点は多くの研究で立証されていますが、微生物を活発にするには私たちの工夫も必要です。メカニズムまでは十分に解明されていないものの、プロバイオティクスがアレルギー体質の改善に有用であることが指摘されている1ほか、腸内細菌叢を整えることで、にきびや日焼け、加齢現象などの皮膚の状態に好ましい影響が期待できることもいくつかのデータで示されています。2 腸と脳の相関性 奇妙に聞こえるかも知れませんが、脳と腸の間には強い繋がりがあり、近年盛んに研究が進められています。脳腸相関は、消化管内の微生物叢が、記憶力や集中力、学習能力、不安、うつ、ストレスを司る神経系の健康と関連している、とする概念です。 プロバイオティクスの補給は必要か プロバイオティクスの補給が強く望まれる状況はいくつか知られており、特に抗生剤を使用しているときは投薬で失われた微生物をプロバイオティクスで修復する必要があります。抗生剤は体に良い微生物まで殺してしまうことがありますので、なるべく早くプロバイオティクスを補充して本来の環境を取り戻すようにして下さい。 また、海外旅行に出る場合は、食事を介して取り込まれる病気を寄せ付けないよう、出発前から始めて旅行中もずっと、プロバイオティクスを摂取しましょう。旅先でなくとも、食あたりが心配なときにプロバイオティクスを補給しておくと、体に悪い菌の繁殖が抑えられます。また、日ごろから胃腸障害に悩んでいる人にもプロバイオティクスが有益です。膨満感や下痢のような比較的軽い症状から、炎症性腸疾患、クローン病、大腸菌やピロリ菌の感染といった重篤になる可能性のある病気まで、あらゆる状況でプロバイオティクスが役に立ちます。 どんなプロバイオティクスを摂取すればよいか プロバイオティクスにはたくさんの種類があり特質もそれぞれに異なります。実は、プロバイオティクスの菌株のうち、多くが胃(口の次に消化が行われるところ)の酸や胆汁に耐えられません。胃で生き残れない微生物は当然、その先へ進んで活躍することもできません。それでは、有効性のあるプロバイオティクスはどのように摂取すればよいのでしょうか。 腸に届くプロバイオティクスにはたくさんの種類があり、その大半が乳酸菌かビフィズス菌の仲間です。ラクトバチルス・アシドフィルスは乳酸菌の一種、ビフィドバクテリアム・ビフィダスはビフィズス菌の一種です。さらに、それぞれの種の中に系統の異なる株があり、「ラクトバチルス・アシドフィルスDDS-1」といったような名前がつけられています。株の区別まで記載しているサプリメントはほとんどありませんが、系統が異なれば目的も違ってくる場合があるので、把握できたほうがよいでしょう。 一般的な目安としては、7系統以上の株を50億CFU(コロニー形成単位)以上含むサプリメントが好ましいと言えます。加えて、生きている状態で腸までたどりつき、そこで繁殖できるよう作られたプロバイオティクスでなければ真の効果は期待しにくいことも知っておきましょう。製造段階で生きている状態の微生物を配合したサプリメントは一般的ですが、摂取時の生存状態まで保証していないものが多いので注意が必要です。また、冷蔵保存する必要があるか、常温で保管できるかを確認するのも忘れないようにしましょう。最も重要なのは、品質に申し分のないメーカーから購入することです。 Yang, Gui, et al.“Treatment of Allergic Rhinitis with Probiotics:An Alternative Approach.” North American Journal of Medical Sciences, Medknow Publications & Media Pvt.Ltd., Aug. 2013, www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3784923/. [↩]Kober, Mary-Margaret, and Whitney Bowe.“The Effect of Probiotics on Immune Regulation, Acne, and Photoaging.” International Journal of […]
プロテインとは?
Reading Time: < 1 minute 知っているつもりでも、実は知らないことばかり。 プロテイン、すなわちタンパク質とは何かはほとんどの人が知っています。炭水化物、脂質と並ぶ、私たちの食生活に欠かせない三大栄養素のひとつです。バランスのとれた健康的な食生活の一環として、タンパク質が有用であることは研究で示されています。私たちの体を構成する細胞のひとつひとつを作ったり維持したりするうえで、タンパク質は重要な役割を果たしています。1 では、タンパク質が不足した場合、どうなるのでしょうか。適量を摂取するのに最適な食品とは何なのでしょうか。 人体がタンパク質を必要とする理由 内臓から組織、筋肉、皮膚、髪の毛、骨に至るまで、タンパク質は全身に存在します。その種類が1万を超えるということはご存知ですか。タンパク質は私たちの体の細胞のひとつひとつに存在し、各細胞の修復や再生を助けています。ですから食事からタンパク質を摂取することは大切です。2 タンパク質は、エネルギー供給や血中酸素の移動などの過程においても重要な役割を果たしています。健康を維持し、体が本来の機能をこなし続けるようにするためにも、タンパク質は不可欠です。 細胞をつくる 骨、筋肉、軟骨、皮膚はタンパク質の力なくしてつくることはできません。 組織を修復する タンパク質は損傷した組織の修復に必要です。 血中酸素を運ぶ 赤血球に含まれるタンパク質化合物は、全身に酸素を届け、必要な栄養素を供給しています。 消化を助ける 食事から得たタンパク質で作られる酵素は、適切な消化を助けるほか、新しい細胞や体内の化学物質をつくる働きを補助しています。 ホルモンを調整する タンパク質はホルモン調節に役立ちます。これは、細胞の発達や変化が著しい思春期に特に重要です。 まだまだある、タンパク質を摂取するメリット タンパク質には、減量したい人や筋肉をつけたい人にとって見逃せないメリットがあります。研究により、タンパク質は深夜の間食に対する欲求や食欲を軽減するだけでなく、3 主要栄養素の中で最も満足感をもたらし、炭水化物や脂肪よりも長く食欲を抑制することが示されています。4 タンパク質をたくさん食べることで筋肉の損失を減らし、筋肉量を増やして強度を高められることは、数多くの研究で示されています5 。 必須アミノ酸 私たちが摂取したアミノ酸は消化によってアミノ酸に分解されます。このアミノ酸がタンパク質を構成する材料となるのです。英国栄養財団は、成人が健康を維持するには、現在知られている約20種類のアミノ酸のうち9種を食事で摂取する必要がある、としています。6 いずれも必須アミノ酸としても知られ、タンパク質の豊富な食品を食べる以外に得る方法はありません。 タンパク質の必要量とは、タンパク質の含有量が高い食品とは? 具体的な必要量は個々人の年齢や体重により異なりますが、研究によると、成人で毎日体重1kgあたりタンパク質約0.6gを平均的に必要とするとのことです。なお、乳児、子供、妊娠中や授乳中の女性の必要量はこの目安とは異なります。7 タンパク質は、肉や牛乳、魚、卵などに豊富に含まれています。ベジタリアンやヴィーガンの方でも、動物性食品を避けつつ必要なタンパク質を摂取する方法はあります。タンパク質は、大豆ほか豆類、ナッツ類のバター、穀類の一部(小麦胚芽やキヌアなど)にも含まれています。 様々な種類のタンパク質 タンパク質には様々な種類があります。これは、特定の食品群を避けなければならない人や、避けることを選択した人にとっては嬉しい点です。 カゼインは牛乳に含まれるタンパク質で、ゆっくりと時間をかけて消化・吸収されるので、乳糖不耐症の方に有用かも知れません。 卵タンパク質(エッグプロテイン)は、乳製品を避けつつ動物性のタンパク源を取り入れたい方に最適な選択肢です。タンパク質消化性補正アミノ酸スコアで比較した研究では、卵は全食品の中で最も優れたタンパク源であることが明らかになっています。8 エンドウマメタンパク質(ピープロテイン)は、卵や乳製品にアレルギーのある人や過敏症に悩んでいる人、ベジタリアンやヴィーガンに最適です。 アサノミタンパク質(ヘンププロテイン)は消化しやすい植物性タンパク質で、数種類のアミノ酸が豊富に含まれていますが、リシンとロイシンの含有量は少ないという特徴があります。 玄米タンパク質にはすべての必須アミノ酸が含まれていますが、リシンはごく少量ですので、完全なタンパク源とは言えません。 植物性タンパク質混合物は、肉類を避けたいけれどアミノ酸は多く摂りたいという方に最適な選択肢です。このタイプのプロテインパウダーには植物由来の成分が配合されていることが多く、好みやニーズに合わせて様々な選択肢があります。 プロテインと運動 乳清を原料とするホエイプロテインは、プロテインを補給するサプリメントの中でも最も人気が高く、特にスポーツやフィットネスのパフォーマンス向上を目的に使用されています。乳清は牛乳からチーズを作る過程でカード(凝固物)と分離させることで得られる液体です。タンパク質の豊富な乳清については、体重を管理しようとしている人の食欲を軽減する働きが最も優れていることを示した研究があります。9 ホエイプロテインに関する研究では、運動パフォーマンスを向上させるだけでなく、筋肉量を増やして体組成を改善するのに役立つことが分かっています。さらに、体の持久力を増加させ、わずかながら体力も増強することが示されています。10 タンパク質の由来もいろいろ サプリメントとしてのプロテインパウダーの品質はまちまちです。ホエイプロテインなら皆同じというわけではありませんし、すべてのホエイプロテインが同じ効果をもたらすわけでもありません。まず見分けたい重要な点は、タンパク質が変性していないかどうかです。変性が起こってしまうと、生化学的な過程でタンパク質の本来の構造が損なわれ、機能を十分に果たせなくなります。プロテインパウダーに生じる変性は、ホエイプロテインが酸にさらされたり、アミノ酸が酸化されたり、殺菌処理の過程で高熱にさらされたりして、アミノ酸の構造が壊れたことによるものです。 乳清タンパク質が有用なのは、免疫力を高める重要なタンパク質を含有しているからです。よって、このタンパク質の損傷を避けるために、非変性か低変性のプロテインを選ぶことが望まれます。最高品質の非変性ホエイプロテインは、最小限の加工と低温ろ過で製造されています。 プロテインとダイエット タンパク質は非常に重要ですが、そのことに振り回されないようにしましょう。一日の推奨量を一度に摂取する必要はありません。一日を通じてバランスよく摂取することが大切です。 食生活上の好みや健康の目標に関わらず、役に立つタンパク源はたくさんあります。食べることを楽しみながら健康を維持しましょう。 Why Is Protein Important In Your Diet [↩]Protein in diet: MedlinePlus […]
栄養精神医学
Reading Time: < 1 minute 栄養精神医学がメンタルヘルスの理解の鍵に 精神疾患は世界の健康問題のかなりの割合を占めており、健康面だけでなく、社会的、経済的にも大きな懸念事項となっています1 。 従来の治療では、処方薬による薬物療法や対話療法、認知行動療法などの心理療法が主流となっていますが、栄養精神医学の観点からは、メンタルヘルスを理解するためには、食べ物や食事の担う役割も考慮すべきであることが示されています。 栄養精神医学によると、食べ物はこれまで考えられていた以上にストレスのコントロールに大きな役割を果たしている可能性があるとのことです。食事と栄養とメンタルヘルスの間に介在する生物学的経路について新たな研究で探求が試みられる中、腸の健康がウェルビーイングと幸福の鍵を握る要因となっていることが指摘されています 2 。 腸の健康とメンタルヘルスの関係について分かっていること 栄養精神医学は比較的新しい分野ですが、過去数十年にわたる数々の研究により、特定の食品がメンタルヘルスに及ぼす影響に統一性を認め得る見解が示されています。うつ病や不安症などの一般的な精神疾患に対して栄養素や食品の摂取がそれぞれどう関与するか、に着目した観察的研究が多数進められ、気分障害の治療ではサプリメントを使用した試みも行われています。 3 腸の健康は気分に影響するか 腸内の微生物叢は炎症調整の鍵となります。腸内には何兆個もの細菌が存在しています。そのバランスが適切であり、「悪玉菌」に振り回されることなく「善玉菌」が豊富にいる間は、アミノ酸のトリプトファンをセロトニンに変換する過程が補助されます。4 セロトニンは、健やかで幸せな気分を調節する重要なホルモンです。セロトニン量の低下はうつに関連しており5 、悪玉菌が増えると体内のセロトニンの産生が妨げられます。ですから、ヘルシーな食事をして腸の健康を保つことで、悪玉菌の暴走を防ぐことができます。同時に、善玉菌を活発に働かせることでセロトニンの産生量を増やせば、気分に良好な作用が期待できます。食べて幸せになるというのは実際に可能なことなのです。 幸せな気持ちに導く食べ物とは 最近メンタルヘルスの慈善団体(Mind)の支援を受けたあるプロジェクトで、食べ物と気分に関する調査6 が実施されました。公表された結果では「ストレス要因」になる食品と「サポート役」になる食品が特定されていました。ストレス要因になる食品には、砂糖、カフェイン、アルコールなどが含まれていました。一方、気分をサポートする食品としては、水、果物、野菜、ナッツ類、種子、食物繊維、全粒粉、脂肪分の多い魚などが列挙されていました。 まずは数週間、サポート役になる食品を増やし、ストレス要因となる食品を減らして、気分にどのような効果があるか試してみてはいかがでしょうか。最初は難しく感じるかも知れませんが、幸せでポジティブな気持ちになれるのなら、困難を補って余るものがあるはずです。 NCBI: Nutritional psychiatry – the present state of the evidence [↩]NCBI: Nutritional psychiatry – where to next? [↩]Psychiatry online: Association of Western and Traditional diets with depression and anxiety in women [↩]The Guardian: Nutritional psychiatry – can […]
炎症と体重増加の関係
Reading Time: < 1 minute 炎症と体重増加に関係はあるか 感染症と戦う体や傷を治そうとする過程で生じる炎症は、人体の自然かつ健康的な反応のひとつです。しかしながら、炎症には注意の必要な他の側面があり、体重増加を引き起こす可能性があることも指摘されています。 一年の始まりほど、多くの人が自分の体重に疑問を抱き、より健康な体を作るために一歩踏み出す時期は他にないかも知れません。野菜と果物を中心に最善の食品をきちんと食べ、毎日運動するという、ライフスタイル全体の根本的な改善と比べて、一時的なダイエットの成功率がふるわないのは当然です。それを承知のうえで健康的な体重を目指すなら、目に見えない敵に向き合う必要も出てきます。 体の炎症反応が必要になることは多々あります。例えば、夕食の支度をしている時に指を切った、あるいは転んでひざを擦りむいた、といった時がそうです。傷口にあふれる血液の中では、すぐさま体の免疫反応が働いて、治癒に向かってやるべきことを開始します。炎症は免疫反応の一種です。傷口が腫れるのも炎症と関連してよく見られる現象ですが、ごく普通に、自然に起こる正常な免疫反応です。このような、治癒を進めるために生じる炎症は「良性」です。 炎症が問題となるのは、慢性化した場合です。大量の糖分を摂取したり、カロリーばかりで栄養のない食品を食べたりしていると、炎症が慢性化しやすくなります。グルテンやレクチンなど炎症を生じやすいタンパク質を含む食品でも同様です。さらに運動をしないでいると、慢性的な炎症に陥る可能性は高まります。慢性炎症が厄介なのは、体を攻撃し続け、ストレスを持続させるからです。免疫系は働きっぱなしで、休むことができなくなってしまいます。 ある種の食品で生じた炎症のせいで体重が増加することはあるのか 炎症と体重増加に関連性があるのは確かです。お腹周りの脂肪や内臓を囲む脂肪は、心血管系の疾患とホルモンの混乱を招きやすいため、炎症との関連で考えると特に悪質と言えます。しかも困ったことに、脂肪が炎症を起こし、炎症が脂肪の燃焼を難しくする、という悪循環に取り込まれてしまう可能性もあります。炎症と体重増加はいわば車の両輪なのです。 血中のC反応性タンパク (CRP) 量は炎症反応の強さを示す指標で、血液検査の項目としてもよく知られています。例えば、呼吸器系に急性ウイルス疾患があると、CRP値が高くなり、体が感染症と戦う炎症反応が起こっていることが分かります。ある研究では、CRP値の追跡により、欧米型の食事と運動不足が炎症リスクとなっていることが指摘されています。 1 体内で続く炎症の連鎖を抑制するには、減量して脂肪細胞を通常の大きさに戻してやるのが有効であると考えられています。2 慢性炎症に起因する健康問題は、胃腸障害、腸漏れ症候群、慢性疼痛、関節痛など、多岐にわたります。慢性炎症に繋がる要因も、慢性ストレス、睡眠不足、環境ストレス源への暴露(汚染、職場の危険物など)その他様々ですが、肥満との関連では特に不健康な食生活が要注意です。慢性炎症は時間をかけて体内に蓄積します。これを抑えるにも、相応の時間をかける必要があります。 食生活の改善で炎症と体重増加に対抗する 炎症と体重を軽減するには、食事内容を見直すとよいでしょう。肥満あるいは体重過多とされた300人以上の中高年層を対象に行われたある研究では、被験者がカロリー摂取量を減らし運動量を増やすプログラムを実行したところ、CRP値を下げることに着目した場合、運動よりもカロリー制限の方が効果的だった、と報告されています。3 運動に効果がなかった訳ではありませんが、健康的な食生活が鍵となることが示された、と解釈することができます。 普段から抗酸化物質を豊富に含む食品飲料を積極的に摂るよう心がけましょう。抗酸化物質は、慢性炎症の主な要因となるフリーラジカルの攻撃と戦う体を助けてくれます。緑茶を飲み、緑の葉野菜とベリー類をしっかり食べる、といったように、抗酸化作用・抗炎症作用のあるものを選ぶようにして下さい。 抗酸化物質の豊富な食品は抗炎症作用も期待できます。抗炎症作用のある食品としては、アンチョビ、イワシ、サーモン、オヒョウなど、脂肪分の多い天然ものの魚もおすすめです。また、生のナッツ類・種子類、アボカド、でんぷん質の少ない野菜も有用です。ザワークラウト、ケフィア、キムチ、きのこ茶などの発酵食品も抗炎症作用があります。ウコン、生姜、オレガノといったスパイスやハーブも抗炎症作用があるので、積極的に活用しましょう(スパイスはほぼ全種類が抗酸化物質を豊富に含み、慢性炎症に対抗する成分も含有しています)。 ナッツ類やアボカド、オリーブオイル、ココナッツオイルといった良質の脂肪は避けずに摂取しましょう。避けるべきは、高度な加工により精製された植物性油脂です。 予防策としてできること 良質のプロバイオティクスは腸と消化器系の健康維持に役立ちます。夜はしっかりと睡眠をとってストレスを管理しましょう。過度に体を傷めつける必要はありませんが、自分の限界に挑むくらいの運動をすることも望まれます。運動は、足りなくてもやり過ぎても、炎症に対する効果が期待できません。また、アルコールと糖の摂取量を制限し、カフェインも睡眠の妨げとならない範囲に抑えて下さい。 やらなければならないことが随分とあるように思えるかも知れませんが、全てにこだわり過ぎる必要はありません。極端にやり過ぎるのも心配ばかりするのも、ストレスを増やし炎症の元になります。心がけを改め、都度最善を尽くせばそれで良いのです。 Thompson, Amanda L., et al. “Weight Gain Trajectories Associated With Elevated C‐Reactive Protein Levels in Chinese Adults.” Journal of the American Heart Association, vol. 5, no. 9, Sept. 2016, doi:10.1161/jaha.116.003262. [↩]Yatsuya, H, et […]
カルシウム
Reading Time: < 1 minute 骨や歯に蓄えられるミネラル カルシウムは必須ミネラルのひとつです。体内では骨や歯に大量に蓄えられており、量的な意味で最も重要なミネラルと言えるでしょう。1 健康的でバランスのとれた食事をしていれば、カルシウムの摂取量の大半は食事で達成できます。毎日どれくらいのカルシウムが必要なのか、どのような食品で補えるのかを確かめてみましょう。 体にカルシウムが必要な理由とは 必須ミネラルであるカルシウムは、体内で進むあらゆるプロセスに関与しています。カルシウムは健康な骨と歯の維持に必要です。骨と歯には体内のカルシウムの100%近くが存在します。カルシウムはまた、心臓や筋肉にも重要ですし、神経細胞、新陳代謝、消化器系はカルシウムなしでは機能しません。 一目で分かる – カルシウムによって支えられているプロセス 正常な歯の維持 正常な骨の維持 子どもの正常な成長、骨の発達 正常な血液凝固 筋肉の正常な機能 神経細胞間の正常な信号伝達 正常なエネルギー代謝 消化酵素の正常な機能 日に必要なカルシウムの量 1日に必要なカルシウムの量は主に年齢層によって違いがあり、乳幼児、小児、青年、成人と別々に設定されています。子どもは特に、正常な成長と骨の発育にカルシウムを必要とするため、子どものカルシウム摂取は非常に重要であると考えられています。 ドイツ栄養学会(DGE)が推奨する基準値は以下の通りです2 。 1歳までの乳児には1日220~230mgのカルシウムを摂取させるべきである。 1歳から7歳までの子どもは、1日600~750mgのカルシウムを摂取すべきである。 7歳から13歳までは1日900~1100mgを推奨。 14歳から19歳までの思春期は、1日1200mgの摂取を推奨。 20歳以上の成人のカルシウム摂取量は1日1000mgを推奨。 妊娠中のカルシウム摂取 DGEはまた、妊娠中・授乳中の女性に1日あたり1000mgのカルシウム摂取を推奨しています。2 妊娠中から母体の食事を通してすべての栄養素を子に供給することが大切です。妊娠中の女性は、重要なミネラルや栄養の必要量を毎日確保することが望まれます。 子どもの骨を最適に発達させるには、妊娠中や授乳中のカルシウム摂取が特に重要となります。そうすることで、丈夫な骨を作るための礎を早い段階で築くことができるからです。妊娠中の母親は、カルシウムを豊富に含む適切な食事について医師に相談してみて下さい。必要に応じてサプリメントを利用してカルシウムを追加することもできます。3 バランスよくカルシウムを吸収するには カルシウムを豊富に含む食品を適度に摂取していれば、カルシウムが不足したり過剰になったりすることはほとんどありません。バランスのとれた健康的な食事を心がけましょう。カルシウムの欠乏症が少ないのは、必要に応じて骨に蓄えられているカルシウムが血液中に放出されるからです。人体にはカルシウムを欠かさないよう補充する仕組みが備わっているのです。4 カルシウムを含む食品 1日に必要なカルシウムはどうすれば確保できるのでしょうか。牛乳がカルシウムの優れた供給源であることは間違いありませんが、この貴重なミネラルは他の多くの食品にも含まれています。5 牛乳、ヨーグルト、リコッタ、モッツァレラ、エメンタール、チェダーなどのチーズ・乳製品 (エメンタール1切れには約410mgのカルシウムが含まれています) キャベツ、縮緬キャベツ、ブロッコリーなどの野菜、大豆 (調理した縮緬キャベツ200g中には約360mgのカルシウムが含まれています) オレンジやイチジクなどの果物 (干しイチジク2個には約65mgのカルシウムが含まれています) イワシ、サケ、エビなどの魚介類 (缶詰の骨付きイワシ85gで約325mgのカルシウムを摂取できます) 栄養強化されたアーモンドミルク、ライスミルク、豆乳、豆腐、オーツ麦など (アーモンドミルクやライスミルク、豆乳を240ml飲むと約300mgのカルシウムを摂取できます) ミネラルウォーター カルシウムの含有量では、牛乳、乳製品、チーズが上位を占めています。乳製品を少ししか摂取しない、あるいは全く摂取しない人の場合、果物や野菜、魚介類、カルシウム強化食品などからカルシウムを摂取できます。肉を食ベる人、フレキシタリアン、ベジタリアン、ペスカタリアン、ヴィーガンなど、どんなスタイルであっても、バランスのとれた食生活をすれば、食品から十分な量のカルシウムを摂取することができます。ミネラルウォーターもカルシウムの貴重な供給源になり得ます。ミネラルウォーターの場合、1リットルあたりのカルシウム含有量が150mg以上であれば、カルシウムが豊富に含まれていると考えられます。4 次回購入する際には、ラベルをよく確認して下さい。 https://medlineplus.gov/ency/article/002412.htm [↩]https://www.dge.de/wissenschaft/referenzwerte/calcium/ [↩] [↩]https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5561751/ [↩]https://www.dge.de/wissenschaft/weitere-publikationen/faqs/calcium/ [↩] [↩]https://www.nof.org/patients/treatment/calciumvitamin-d/a-guide-to-calcium-rich-foods/ [↩]
微量栄養素とは
Reading Time: < 1 minute ビタミン、ミネラル、微量元素、その他の栄養素 栄養素は微量栄養素と多量栄養素の2つのグループに大別できます。微量栄養素とは、食品に含まれる成分のうち、体にエネルギーを与えることはしないものの、体内の様々な過程や機能で生命維持に必要不可欠な役割を果たすものです。1 微量栄養素には、植物二次代謝産物、アミノ酸、必須脂肪酸に加えて、ビタミン、ミネラル、微量元素などが含まれます。 栄養素のミクロとマクロ:その違いとは 多量(マクロ)栄養素は比較的大量に必要とされますが、微量(ミクロ)栄養素は必要な量で見るとかなり少ないという特徴があります。2 多量栄養素は、体にエネルギーを供給する役割を担っています。つまり、私たちの体は、多量栄養素を分解してエネルギーに変換しているのです。多量栄養素には、脂肪、タンパク質、炭水化物などがあります。微量栄養素は多量栄養素に比べて必要な量が少ないのですが、体の多くの機能において重要な役割を果たしていることに変わりはありません。ですから、バランスのとれた食生活で必要な栄養素全てを確保することが大切です。 微量栄養素の種類と体内での働き 微量栄養素は、ミネラル、微量元素、ビタミンに分類できます。どの栄養素にもそれぞれに重要な働きがあり、免疫系をサポートする栄養素もあれば、代謝に欠かせない物質もあります。 私たちの体は、筋肉、皮膚、骨、血液、神経などを維持するべく、細胞の再生や新生のために常に働いています。体は必要な栄養素の全てを自ら作り出すことはできません。ですから体が本来の働きをするためには、多量栄養素も微量栄養素も食事から摂取しなければなりません。 ミネラル ミネラルは無機栄養素の一種です。体内で分解することはできませんが、体の構造や神経、筋肉の維持、体液の調節などにおいて重要な役割を果たしています。必須ミネラルには、カルシウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウムなどがあります。いずれも全身で重要なミネラルで、特に骨の発達や歯、新陳代謝などをサポートしています。 カルシウム 体内のカルシウムの約99%は骨と歯に蓄えられています。残りの1%は血液、筋肉、組織に存在します。3 正常な骨や歯を維持するには、食事でたっぷりとカルシウムを摂取することが重要なのです。子どもの場合は特に正常な成長と骨の発達にカルシウムが必要です。しかしながら、食事で充分な量のカルシウムを摂取することに注意しなければならないのは、成長期の子どもだけではありません。カルシウムをはじめとする重要な微量栄養素は、どの年齢層であっても欠かせないものです。 カルシウムは骨や歯にとって重要なだけでなく、筋肉や消化酵素の正常な働き、正常な代謝にも貢献しています。 マグネシウム スポーツや運動をしている時に筋肉の痙攣に悩まされたことがある人なら誰でも、痙攣を起こりにくくするにはマグネシウムが良いと勧められたことがあるのではないでしょうか。その理由はご存知ですか。マグネシウムは筋肉の正常な機能に貢献します。マグネシウムは筋肉にとって重要なだけでなく、正常な骨や歯の維持もサポートします。 マグネシウムの働きはまだまだあります。マグネシウムは様々な細胞反応をサポートする微量栄養素のひとつで、細胞分裂の過程に関与しています。 また、マグネシウムは正常なエネルギー代謝にも貢献します。具体的には、電解質バランスや正常なタンパク質合成をサポートしています。また、マグネシウムは神経系の機能を正常にしたり、疲労感や倦怠感を軽減したりするのにも役立っています。 カリウム カリウムは微量栄養素の分配で重要な役割を担っています。カリウムの主な働きは神経や筋肉に電気的刺激を伝達するというもので、これにより、正常な神経系の機能に寄与するだけでなく、正常な筋肉の機能のサポートや、正常な血圧の維持にも役立ちます。ですから、カリウムが不足すると、心拍数が上がったり、筋力が低下したりといった兆候が現れます。4 ナトリウム ナトリウムは多くの食品に含まれている必須ミネラルです。ナトリウムは天然の微量栄養素で、ほとんどの食品に自然に含まれているか、食塩として添加されています。ナトリウムは体内でも特に重要な電解質のひとつで、全身の体液のバランスを整えます。さらに、ナトリウムの摂取は、酸と塩基、血圧の調節でも重要です。5 微量元素 微量元素はミネラルの一種です。体が必要とする微量元素は少量ですが、 6 体全体にとって非常に重要な栄養素であることに変わりはありません。主な微量元素には、鉄、亜鉛、ヨウ素、セレン、クロムなどがあります。 鉄 鉄は必須ミネラルのひとつに数えられる微量栄養素です。鉄は赤血球やヘモグロビンの正常な形成に寄与しています。血液の形成に加えて、酸素の輸送、貯蔵といった重要な役割も果たしています。 7 体内の酸素の輸送を正常に行うには、鉄のサポートが必要なのです。 さらに、鉄は免疫機能の正常な働きに寄与することで、免疫力をサポートしています。また、鉄分をしっかりと摂取することは、認知機能の正常化や疲労感・倦怠感の軽減にも貢献します。 亜鉛 前述したように、亜鉛もまた必須微量元素のひとつです。人間が生きていくためには欠かせないものですが、体内で作り出すことも、体内に蓄えることもできないので、食品から取り込まなければなりません。 体内の多くの反応に関与する微量元素ですから、亜鉛の摂取は非常に重要です。例えば、亜鉛は酸塩基代謝、炭水化物代謝、タンパク質合成が正常に行えるよう助けます。さらに、亜鉛は正常な皮膚、髪、爪の維持をサポートしており、外見にも好ましい影響力を有しています。 ヨウ素 亜鉛と同じように、ヨウ素も必須微量元素です。ヨウ素もまた体内で生成することができないため、食品を介して定期的に摂取する必要があります。ヨウ素は甲状腺ホルモンの正常な産生と正常な甲状腺機能に寄与しており、主に甲状腺にとって重要です。さらに、正常な認知機能と神経系の機能もサポートします。 セレン セレンは多くの身体反応に関与する必須微量元素で、全身で重要な機能を担っています。セレンは酸化ストレスやフリーラジカルから細胞を守る働きがあり、免疫系の正常な機能にも貢献しています。さらに、セレンは亜鉛とともに、皮膚や髪、爪を正常に保つのに役立っています。 クロム 必須微量元素のクロムは、多量栄養素の正常な代謝をサポートしています。さらに、血糖値の正常な維持を助けるという重要な役割も果たしています。 ビタミン ビタミンは微量栄養素の一種で、体内の様々な過程の調整を補助する有機化合物と定義されています。8 ビタミンの多くは、人間が生きていく上で欠かせない、必要不可欠なものです。細胞の発達をサポートしたり、防御や免疫反応で免疫系を助けたりと、様々な役割を果たしています。ビタミンは脂溶性ビタミンと水溶性ビタミンに大別できます。脂溶性ビタミンにはビタミンA、D、E、K、水溶性ビタミンにはビタミンB、ビタミンCなどがあります。この2つのグループには大きな違いがあり、脂溶性ビタミンは体内に蓄えることができますが、一般的に水溶性ビタミンは体内に蓄えられません。ですから、食生活の中で各種のビタミンを継続的に摂取できるようにすることが重要です。ビタミン類はどのグループも、体内の様々な過程で役割を果たしています。 ビタミンA ビタミンAは脂溶性のビタミンで、特に正常な皮膚の維持に貢献しています。また、ビタミンAは視力や目の健康にも影響を及ぼします。それはビタミンAが視力や粘膜を正常に維持するのに役立つからです。さらに、ビタミンAは免疫系を強化し、その正常な機能に寄与する微量栄養素のひとつでもあります。 ビタミンB群 ビタミンB2(リボフラビン)、ビタミンB6(ピリドキシン)、ビタミンB12(コバラミン)といったビタミンB群も、様々な代謝過程で体をサポートする重要な微量栄養素です。 (リボフラビン)は、正常なエネルギー代謝、神経系の正常な機能、正常な視力の維持に貢献します。 (ピリドキシン)は、タンパク質やグリコーゲンの正常な代謝、赤血球の正常な形成、免疫系の正常な機能に寄与します。 (コバラミン)は、赤血球の正常な形成や細胞分裂の過程で役割を果たしています。さらに、ビタミンB12は神経系の正常な機能をサポートします。 また、ビタミンB12については、数年の期間にわたって体内に貯蔵できるという特別な性質があることが分かっています。9 ビタミンC ビタミンC(アスコルビン酸)は、全身、なかでも免疫系にとって重要なビタミンです。これは、激しい運動中や運動後に免疫系の機能を正常に維持し、酸化ストレスから細胞を保護するのにビタミンCが役立つからです。免疫系のほか、コラーゲンの形成補助による結合組織の発達にもビタミンCは必要とされています。正常なコラーゲン形成に寄与することは、血管、軟骨、歯茎の正常な機能のためにもなります。さらに、ビタミンCは植物由来の鉄の利用効率を高めることで、鉄の吸収を良くします。10 ビタミンD […]
プロバイオティクスになる微生物
Reading Time: < 1 minute 腸の健康の礎 プロバイオティクスになる微生物は、私たちの腸内で健康にプラスの効果をもたらしてくれます。私たちは出生と同時に最初の微生物、乳酸菌を体内に取り込み、生涯にわたってこうした微生物と共生します。1 プロバイオティクスとなる微生物は、生まれた時から体内に存在するものだけでなく、健康、特に腸の健康をサポートするために、食べ物を介して摂取することもできます。 プロバイオティクスとは何ですか? プロバイオティクスとは、腸内細菌叢に生息し、全身の健康、特に消化器系の健康をサポートしてくれる良い細菌です。2 これらの生きた微生物は、腸内細菌叢の自然なバランスを回復するのに役立ちます。このバランスを崩す要因となるのが、多くの場合、現代風のライフスタイルです。偏った食事や抗生物質の過剰な使用が、腸内細菌叢に悪影響を与えてしまうのです。3 プロバイオティクス、プレバイオティクスおよびシンバイオティクス4 プロバイオティクスは、適切な量を摂取すれば、私たちの健康に良い影響を与えることができる生きた微生物です。 一方、プレバイオティクスは、腸内の有益な微生物の栄養源となって増殖を促進する食品成分です。 シンバイオティクスは、プロバイオティクスとプレバイオティクスを組み合わせたものです。 H2:プロバイオティクスの種類とその効果 プロバイオティクスには数多くのグループがあり、その中でもいくつかの株に分けることができます。これらの株にはそれぞれ異なる効果があり、最適な万能のプロバイオティクスは存在しません。また、自分に最適なプロバイオティクスが、他の人にも最適とは限りません。プロバイオティクスの代表的な菌は、乳酸菌(ラクトバチルス・ラムノーススGG)とビフィズス菌(ビフィドバクテリウム・アニマリス)の2つです。5 また、いくつかの菌株が入ったプロバイオティクスもあります。多くの細菌は共生関係にあるため、互いに補完しあえばさらなる効果を発揮できるのです。 乳酸菌 ラクトバチルス属の細菌は、発酵によって糖を乳酸に代謝することができます。6 乳酸菌と呼ばれるのはこのためです。この発酵プロセスによって、食品の保存が可能になります。保存性だけでなく、発酵によって品質、味、香り、食感、色などの特性も得られます。7 発酵について詳しくは知らないという方のために、すでにお馴染みの例を3つご紹介します: 乳酸発酵は、生野菜をザワークラウトなどに、乳製品をチーズやヨーグルトなどの保存食にします。6 乳酸菌は、ヒトの栄養状態に重要な役割を果たすほか、免疫力を高める効果があるので6 健康にもプラスに働きます。8 善玉菌の数が増え、悪玉菌の数が減れば、感染症や炎症に打ち勝つことができるのです。免疫系が効果的に働くためには、腸内細菌のバランスが整っていることが必須条件です。9 乳酸菌は、アレルギー性疾患やメタボリックシンドローム(肥満、高血圧、糖尿病)に対してもプラスの役割を果たしている可能性があります。8 ビフィズス菌 プロバイオティクスのもうひとつの代表的な菌、ビフィズス菌は、ビフィドバクテリウム・アニマリスとも呼ばれます。この菌も健康、特に腸の健康にプラスの効果を与えます。例えば、腸疾患の専門医であるイーモン・マーティン・クイグリー教授による研究では、ビフィズス菌が免疫系を強化し、消化を促進し、特に胃腸の不調や過敏性腸症候群、便秘に苦しむ人々にとってはその症状をを和らげることが示されています。10 腸を健康にするためのプロバイオティクス食品 発酵食品は、重要な三大栄養素を含んでいるだけでなく、体に有益な微生物を腸にたくさん届けてくれます。11 ヨーグルト、ケフィア、ザワークラウトなどの食品にはプロバイオティクスになる微生物が自然に含まれています。しかし、発酵食品はすべてプロバイオティクス食品なのでしょうか? 食品の中には、製造過程で有益な微生物が取り除かれてしまうものがあります。例えば加熱処理や防腐処理によってプロバイオティクスになる微生物が死んでしまったりします。したがって、発酵食品のほとんどがプロバイオティクス食品ですが、すべてではありません。12 いくつかのプロバイオティクス食品の概要をまとめてみました。 ヨーグルト ヨーグルトは最も人気の高いプロバイオティクス食品の一つです。12 ヨーグルトの味と食感は様々な料理に適しています。ヨーグルトとフルーツを加えたミューズリーで一日をスタートさせたり、おやつにヨーグルトを食べて空腹をしのいだりする人も多くいます。ベーキングに使ったり、マヨネーズの代わりにしたり、あるいはソース、ドレッシング、マリネのベースとして使用したりすることができます。12 ケフィア ヨーグルトの他に、近年人気が高まり冷蔵庫内の常備食になりつつあるのがケフィアです。21世紀のヨーグルトとして名を馳せるようになった発酵乳飲料で、天然のプロバイオティクス食品です。13 ザワークラウト ザワークラウトも善玉菌を含むプロバイオティクス食品です。14 腸に良い乳酸菌を摂取するためには、生のザワークラウトを食べるようにしましょう。缶詰のザワークラウトは、低温殺菌やその他の殺菌処理によって乳酸菌がすでに失われているため、あまりお勧めできません。15 キムチ 韓国の発酵した辛い漬物は、万人受けする味ではないかもしれません。しかしキムチは理想的なプロバイオティクス食品なので、キムチ好きな人には朗報です。14 フルーツ 健康的な食生活にフルーツは欠かせません。フルーツの中には、乳酸菌が腸に届くのをサポートするものがあり、バナナとベリー類がその代表的なものです。16 豆類 エンドウ豆、インゲン豆、レンズ豆なども腸に良い食品です。16 食物繊維が豊富な豆類を食べることで消化を促進することができます。17 亜麻仁 豆類と同様に、亜麻仁にも病原体を撃退する食物繊維が多く含まれているので18 、善玉菌が腸の健康をサポートすることができます。19 魚 健康的な食生活を送るためにはバラエティ豊かな食品を食べることが重要です。果物、野菜、様々な乳製品に加えて、魚も善玉菌の供給源としての役割を果たします。6 健康的な食事とサプリメントで善玉菌を増やしましょう 普段からバランスのとれた健康的な食事をしている人は、すでに十分な善玉菌を自然に体に取り込んでいます。しかし、これらの菌がすべて生きたまま腸まで届くわけではないので、意図的に微生物叢を強化するためには、プロバイオティクスのサプリメントを摂取するのが望ましいかもしれません。長距離の移動で免疫力が落ち、新しい病原菌にさらされる旅行者などにおすすめです。20 健康的な食生活を送った上で、サプリメントで善玉菌をさらに増やしたい場合は、まず最初に信頼できる医師に相談しましょう。 https://www.mri.bund.de/en/news/news/short-message/?tx_news_pi1%5Bnews%5D=234&cHash=508eac7d757758cc3072fd78509dda67 [↩]https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22529959/ [↩]https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/13102818.2018.1481350 […]
抗生物質耐性について
Reading Time: < 1 minute 抗生物質耐性は世界中の人々の健康に影響を与える可能性があり、世界保健機関(WHO)の最重要課題となっています。 抗生物質は人や動物の細菌感染症の予防や治療のための薬として使用されていますが、手に入りやすいことや誤った使用法のために、薬に対して耐性を持つ細菌が出てきました。これは、抗生物質に抵抗力のある細菌が生き残って増殖し、進化のプロセスが急速に起こることで発生します。 重要なのは、抗生物質に耐性を持つようになるのは微生物であり、個々の人や動物ではないということです。他の薬と違って、抗生物質は使えば使うほど効果が低下していくのです。 この問題は世界的なものです。米国では約200万人が何らかの抗生物質耐性菌に感染しており、欧州連合(EU)では年間約15億ユーロの医療費がかかっていると推定されています。 抗生物質は体内の善玉菌にダメージを与えるのか まず初めに知っておくべきは、すべての細菌が有害なわけではないということです。私たちの体内に住み、相互に有益な関係を形成している細菌もいます。実際、プロバイオティクスと呼ばれるこれらの善玉菌は、体が効果的に機能するために重要な役割を果たしています。 人間の消化器系には、数百種、合計100兆個の善玉菌が存在しています。善玉菌は、悪玉菌の増加を防ぐだけでなく、消化を助け、食物を分解し、腸の健康を維持し、感染症や炎症を防ぎ、免疫系全体の健康をサポートします。 ところが、抗生物質は本来の目的とは逆の効果をもたらす可能性があることが明らかになってきました。研究によると、特定の抗生物質が腸内の生態系を混乱させ1、バランスを崩したり、善玉菌を殺してしまったりすることが示されています。その影響は多大で、感染症にかかりやすくなったり、あるいはすでに起きている感染症が悪化する2 可能性もあるということです。 抗生物質の継続的な誤用は、細菌が耐性化する機会を増やすことになり、将来的に感染症の治療がはるかに困難になるという脅威をもたらします。 健康的な食事で抗生物質耐性菌の発生を防ぐ 善玉菌が多い健康的な腸内生態系は、体の多くの組織にとって不可欠ですが、これは私たちが食べるものに大きく影響を受けます。 最近の研究3 では、食事が抗生物質耐性遺伝子の豊富さと多様性の両方に直接的な影響を与えることが分かりました。この研究では、抗生物質耐性の脅威との戦いにおいて食生活を変えることが有用なツールとなり得る、と結論づけています。 プロバイオティクスを豊富に含む食品も重要な役割を果たすと考えられています。いわゆる善玉菌は、ヨーグルト、熟成チーズ、味噌など様々な食品に含まれていますが、最近はこの他にも健康のために生きたプロバイオティクスを添加した食品も出回っています。 また、バナナ、ニンニク、リンゴ酢といった食品は、善玉菌の餌として必要な食物繊維を含んでいるため、「プレバイオティクス」4 と呼ばれています。 プロバイオティクスの利点とリスクに関する研究はまだ初期段階にありますが、最近行われたシステマティックレビューでは、毎日プロバイオティクスのサプリメントを摂取した子供たちは、将来的に抗生物質を処方される可能性が29%少ないことが判明しました。 さらなる研究でこれが裏付けられれば、プロバイオティクスの利用と食生活の改善が抗生物質の使用を減らし、ひいては抗生物質耐性化を減らす上で重要な役割を果たすと期待されています。 NCBI:Disruption of the Gut Ecosystem by Antibiotics [↩]Science Daily:Antibiotics destroy good bacteria and worsen oral infection [↩]Gut Microbiota For Health:Diet could help fight the problem of antibiotic resistance [↩]Healthline:The 19 best prebiotic foods you should eat […]
ハチミツの健康効果
Reading Time: < 1 minute ハチミツが健康によい理由 甘いものが全て体に悪いわけではありません。精製された砂糖は微量栄養素があまり含まれておらず、インスリンの過剰な分泌を引き起こすことがあります。しかし、甘味料の中には、ハチミツのように精製度が低く体によいものもあります。ハチミツは人気の高い天然の甘味料で白砂糖の代わりに使うことができます。ハチミツはミツバチが集めて消化した花の蜜が巣の中で貯蔵されたものです。 ハチミツに含まれる健康によい成分 ハチミツには植物由来の生理活性物質と抗酸化物質が豊富に含まれ、色が濃いほど含有量も多くなります。そして同じくハチミツに含まれるフラボノイドと有機酸がこの抗酸化物質の働きを強化しています。脂肪やタンパク質の含有量は実質ゼロですが、微量のビタミンやミネラルが含まれています。健康効果を最大限に得るためには最もヘルシーな生ハチミツを選びましょう。加工ハチミツより含まれる栄養素が多く、抗菌力も高いのが特長です。 民間医療での利用 ハチミツには様々な健康効果があります。ミツバチがハチミツを作り始めたとき、何かを知っていたのかも知れないと思えるほどです。ハチミツは大昔から食べ物としてだけではなく健康のため、治療のため、そして薬として利用されてきました。1 抗酸化物質が豊富に含まれているほか、研究によるとハチミツの抗菌作用は多くの細菌、病原菌、真菌に効き目があるということです。2 咳や喉の痛みにハチミツを 喉が痛いときや咳が出るとき、伝統的な家庭療法として小さじ1杯のハチミツをそのまま舐めたり、紅茶やミルクに入れたりすることが昔から行われてきました。喉をコーティングすることで咳を抑え、上気道炎による喉の痛みを和らげることができるのです。 上気道炎とはいわゆる風邪のことです。子どもが咳で眠れなくなることがよくありますが、ハチミツが咳の症状を抑え睡眠を改善するという研究結果が出ています。 3 1歳以上の子どもなら夜間の咳止めとして安心してハチミツを使うことができますが、1歳未満の乳児の場合は乳児ボツリヌス症を発症することがあるため、絶対にハチミツを与えてはいけません。45 ハチミツと腸内の健康 ハチミツは優れたプレバイオティクスで、腸内の健康をサポートすることができます。下痢のような消化器官のトラブルを抑えるために使うこともでき、研究によれば胃潰瘍の原因として多いヘリコバクター・ピロリの除菌にも役立つということです。 1 中でも特にマヌカハニーは腸内の健康に有効です。おいしくてお腹にも良いハチミツを毎日の食生活にぜひ取り入れましょう。 6 ハチミツと心臓の健康 ハチミツの健康効果は心臓血管系にも及びます。研究によると、ハチミツには狭くなった血管を拡張させ、悪玉コレステロールの酸化を防ぐことで、血栓ができるリスクを下げる力があるということです。7また、ハチミツには血圧低下に関連する抗酸化物質が含まれていて、これが高血圧の改善に役立つ可能性について研究が行われています。7 8 さらに、ハチミツを食べると血圧がやや下がることを実証した研究や、心臓を酸化ストレスから守る 効果があることを示した研究も発表されています。9 8 ハチミツと肌の健康 ハチミツは肌の健康にも役立ちます。その抗菌作用と抗炎症作用が数々の皮膚病や潰瘍、外傷、さらには火傷の治癒にも効果があると研究で示されています。10 また、糖尿病患者の傷の治癒を助けるほか、抗菌作用を活かして手術後に細菌感染した傷の治療に使うこともできます。11 乾癬やヘルペスのために肌が乾燥しカサカサになった部分がある場合、ハチミツで症状を軽減することができます。また、真皮層の一部に及ぶような傷でも、通常の治療に加えてハチミツを使うと効果が高まります。 健康に一番よいハチミツとは いずれのタイプのハチミツにも抗菌作用と抗炎症作用がありますが、マヌカハニーやそばハチミツのような色の濃いもののほうが抗酸化物質を多く含んでいます。 研究によれば、生ハチミツにはより多くの抗酸化物質とポリフェノールが含まれているということです。12 生ハチミツは瓶詰めの前に濾過をしていないので、花粉や蜜蝋も含有しています。13 ハチミツvs砂糖:ヘルシーな天然の甘味料 ハチミツには多くの健康効果がありますが、炭水化物が多くカロリーが高いため食べ過ぎがよくないことは覚えておいて下さい。大さじ1杯のハチミツは64カロリーあり、フルクトース、グルコース、マルトース、スクロースなど17gの糖分が含まれています。 自然で健康に良いのはもちろんですが、糖分であることには違いなく、同量の砂糖ほどではないものの血糖値やインスリンの分泌量に影響します。 糖分の摂取を減らすことは、より健康になるための重要なステップです。ハチミツは砂糖よりも甘いため、砂糖よりも少ない量で同じ甘さにすることができます。砂糖にはない栄養素が豊富に含まれ、砂糖よりも安定した血糖値を維持することができるハチミツは、精白糖のヘルシーな代替品と言えるでしょう。 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3758027/ [↩] [↩]https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5424551/ [↩]https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4264806/ [↩]https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/18056558/ [↩]https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4399406/ [↩]https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3005390/ [↩]https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3005390/ [↩] [↩]https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3270456/ [↩] [↩]https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/26064893/ [↩]https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25742878/ [↩]https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4216698/ [↩]https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0308814605003262 [↩]https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/10942910600981708 [↩]
ビタミンDが大切な理由とは
Reading Time: < 1 minute ビタミンDは全身の健康に特に重要なビタミンのひとつですが、充分な量を摂取できていない人が少なからずいます。 ビタミンDについておそらく最もよく知られているのは、骨を丈夫にする鍵となるカルシウムとリンの吸収を助け、骨の健康に貢献することでしょう。カルシウムを必要とするのは骨だけではありません。ビタミンDは血中カルシウム濃度の正常化にも貢献しています。筋肉を動かすにもビタミンDの働きが関わっています。1 ビタミンDの産生 太陽のビタミンとして知られるビタミンDは、ヒトの体内で産生できる(太陽光を浴びると合成される)唯一のビタミンです。また、ビタミンCとは異なり、体内に蓄えることもできます。しかしながら、日光が不足するとビタミンDを作ることはできません。 食生活を通じてビタミンDを摂取することも可能です。他のビタミンやミネラルと比べると摂取源となる食品はそれほど多くありませんが、積極的に取り入れたいものをいくつかご紹介しましょう。その前に、なぜビタミンDが必要なのかを確認します。 ビタミンDと骨 骨量は主にカルシウムで構成されており、成長期に形成されます。20代以降になると骨密度が低下し始め、年齢を重ねるほどに骨量の減少が加速します。小さい頃から青年になる間に骨量を増やせば増やすほど、後年に新しい骨組織が沈着しなくなった時に利用できる「貯蓄」が多くなる、というわけです。2 ビタミンDが骨をつくる過程で欠かせないのは、腸からカルシウムを吸収するのを補助するという重要な役割を果たしているからです。 ビタミンDと免疫系 近年、ビタミンDが免疫系の正常な機能に寄与することが知られるようになって、その重要性が注目されています。アメリカ国立生物工学情報センター(NCBI)ではビタミンDの欠乏と免疫系への影響について研究が進んでおり、ビタミンD欠乏症が感染症への感受性の増大と関連づけて考えられています。3 ビタミンDと気分 ビタミンDといえば多くの人が太陽の光や休日など、自然に気分を高揚させてくれる要素が連想されます。また、科学的な立証には至っていないものの、ビタミンD不足と季節性情動障害(SAD)との関連性も指摘されています。 4 これは冬季うつとも言われるように日照時間が少ない時期に起こりやすい抑うつ状態が特徴的で、光治療などが実施されています。 ビタミンDの摂取源 先に述べたように、日光以外に食生活からビタミンDを得るという方法もあります。ビタミンDは、サケ、マグロ、サバ、ニシン、イワシなどの脂ののった魚、赤身肉、レバー、卵黄 5 などから摂取できます。 牡蠣も優れた摂取源ですが、普段の食事で頻繁に食べられる人はあまりいないでしょう。栄養強化されたチーズ、スプレッド、乳製品などもチェックしてみて下さい。もちろん、サプリメントという選択肢もあります。 ビタミンDのサプリメントの効果 英国公衆衛生局 6 2016年、栄養に関する科学諮問委員会 (SACN) の勧告を受けて、食事で推奨量を摂取できない秋から冬にかけては、ビタミンDのサプリメントを毎日摂取することを検討すべきである、との助言を行なっています。それは日の短い間、日光を浴びて充分な量のビタミンDを得ることが難しいからです。さらに踏み込んで、日光にほとんど素肌をさらしていない人はビタミンD欠乏症になるリスクがあること、よって通年サプリメントを摂取する必要があることも示しました。また、アフリカ系、アフロカリブ系、南アジア系など肌の色が濃い人は、夏でも日光から充分なビタミンDを得られない可能性があるため、通年サプリメントを利用することを検討する必要がある、と強調しています。これは日差しの弱いイギリスでの話であることは念頭に置いておく必要があるでしょう。 ビタミンDの摂取量を増やす食生活 先に触れたように、乳糖不耐症のある人やヴィーガン、厳格なベジタリアンでなければ、ビタミンDを含む様々な食品をヘルシーな食生活に取り入れることができます。魚が食べられるなら、以下のようなレシピでビタミンDの摂取量を増やしましょう。ぜひご自宅で作ってみて下さい。また、おすすめのレシピがありましたら socialshare@lifeplus.com までお知らせ下さい。ぜひ皆さんと一緒に試してみたいと思っています。 サーモンのローストと半熟卵、アスパラ炒め(4人前) サーモン切り身(ローストか茹でたもの)2枚アスパラガス 500gホウレンソウ 500g卵 4個エクストラバージンオリーブオイル 大さじ4無塩バター 大さじ1レモン2個(くし切りにする) 作り方 • アスパラガスにオリーブオイルを振りかけ、塩コショウで味を調える。• フライパン(焦げ付き防止タイプが便利)を強火にかけ、アスパラガスを入れて2分ほど揺り動かしながら炒め、取り出して脇に置いておく。• 同じフライパンに残りのオイルとバターを入れ、塩、こしょうをして中火にかけ、ホウレンソウを加えます。中火で炒めて全体に油分を行き渡らせます。火が通ったら火を止めて下さい。• 別の鍋に水を入れて火にかけ、沸騰させます。沸騰したら弱火にしてスプーンで湯をかき混ぜて渦を作ります。水面になるべく近い位置から卵をそっと割り落とし、卵白がひとまとまりになるのを待ちます。卵を4つとも同様に入れ、3分ほど茹でます。火が通ったら大きめのスプーンで卵をすくい取り、キッチンペーパーの上に置いて余分な水分を除きます。• サーモン、アスパラガス、ホウレンソウを4枚の皿に盛り付け、その上に卵をのせます。• 黒こしょう適量を振り、レモンを添えて出来上がりです。 レモンサーディンのリングイネ(4人前) 乾燥リングイネ 400gエクストラバージンオリーブオイル 大さじ3エシャロットの薄切り 大さじ2唐辛子のフレーク 小さじ2ニンニク 1片(みじん切り)サーディン 120g入りで2缶(汁気を切っておく)レモン 1個(果汁と皮を使います)パセリ 大さじ1ベビーケール 大さじ2 […]
亜鉛の重要性とは
Reading Time: < 1 minute 亜鉛にどんな働きがあるかご存知ですか。 DNAにまで貢献するなど、その多彩な活躍ぶりには驚かされます。全身に存在するこのミネラルは、免疫系の維持から、骨、皮膚、爪、髪の毛まで、あらゆるところで役立っています。また、認知機能にも不可欠で、酸化ストレスから細胞を保護するほか、健康な視力 の維持にも役立っています。1 ここまででも想像できるように、その重要性はかなりのものです。実は亜鉛がヒトの体内にあることが確認されたのは1961年のことでした。王立化学会によると、亜鉛の存在は紀元前20年以前にギリシャ人やローマ人に知られていましたが、興味深いことに、1746年になってようやく元素として同定されました。 亜鉛の摂取源 亜鉛は主に赤身肉や貝類に含まれています。その他の亜鉛の優れた摂取源 2 としては、チーズ、パン、小麦胚芽、そしてキノコ(特にシイタケ)やグリーンピースなどが知られています。肉類以外でさらに挙げるなら、ホウレンソウ、ライ豆、モヤシ、アスパラガス、ブロッコリー、オクラ、スイートコーン 3 からも摂取できます。ただし亜鉛のバイオアベイラビリティは植物性食品よりも動物性食品の方が優れていることは知っておいたほうがよいでしょう。特に赤身肉や貝類を食べない人は注意が必要かも知れません。 亜鉛の吸収について 亜鉛がどのように体内に吸収されるかは重要なポイントです。ご存知のように、バイオアベイラビリティとは、ある栄養素(またはサプリメントの成分)が体に吸収される効率のことを指します。当然ながら、どれだけ摂取すれば効果が得られるかに関わってきます。シリアルや植物性食品によく含まれているフィチン酸には亜鉛の吸収を阻害する働きがあるため、 4 赤身肉や貝類を食べていない人は潜在的にこのミネラルが不足している可能性があります。亜鉛欠乏症は欧米では比較的まれですが、発展途上国では懸念事項のひとつとなっていて、成長障害5 や成長の遅延、体重減少、創傷治癒の困難といった問題に関連しています。6 亜鉛を確保するには 科学者が亜鉛欠乏症への対策として提案する主な介入戦略は、食事の改善と多様化、サプリメントによる補給、栄養強化、生物学的栄養強化の4つです。5生物学的栄養強化(バイオフォーティフィケーション)とは、作物自体の微量栄養素の含有量を標準以上に高めるプロセスのことで、様々な方法で実現することができます。ただ、この分野にはまだまだ議論の余地があるため、ここでは割愛します(ちなみにライフプラスは遺伝子組み換え原材料を一切使用していません)。 亜鉛をサプリメントで補給する場合は、食事と一緒か、食後に摂取するのが良いでしょう。亜鉛やその他のサプリメントの摂取方法とタイミングについては、こちら を参照して下さい。 亜鉛が私たち人間にとって非常に重要な理由はたくさんあります。上に述べたような潜在的なリスクを回避するためにも、充分な量を食事から摂取できるように心がける必要があります。先の科学者の提案を参考にすれば、比較的簡単に実行できるはずです。サプリメントで補給したいと思った方は、まずライフプラスのウェブサイトをご覧下さい。役に立つ情報がたくさん掲載されています。 http://www.ec.europa.eu/food [↩]https://www.nhs.uk/conditions/vitamins-and-minerals/others/ [↩]https://fdc.nal.usda.gov/ [↩]https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/20715598/ [↩]https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3724376/ [↩] [↩]https://ods.od.nih.gov/factsheets/Zinc-Consumer/ [↩]
酵素:エネルギーの触媒
Reading Time: < 1 minute やらなければならないことを倍速で片付けて本当にやりたいことをする時間を空けてくれる、そんな魔法のリモコンがあったらいいな、と思ったことはありませんか。洗濯ひとつでも、いつか魔法のテクニックか装置が現れるまではどうやっても時間がかかるものです。気休めになるかどうか分かりませんが、少なくとも私たちの体内では、粛々と雑用をこなしてくれる小さな助っ人がたくさん働いています。 その正体は酵素と呼ばれるタンパク質の一種です。酵素は触媒として機能し、様々な化学的プロセスを促進しています。先ほどの洗濯の話に戻りますが、洗濯物の汚れに含まれるタンパク質を分解して、低温でもきれいに洗うことができるのは、実は酵素のおかげです。 酵素はその重要性にもかかわらず、ビタミンやミネラルなどの他の栄養素のようにスポットライトを浴びることがほとんどありません。例えば、ビタミンCやマグネシウムは誰もが耳にしたことがあるでしょう。でも、トリプシンがどのような働きをするのかはほとんど知られていません。 酵素の発見と機能 現代に至る酵素に関する理解は、画期的な化学研究によってもたらされました。ドイツの科学者エドゥアルト・ブフナー 1 は、生きた酵母細胞をすべて取り除いても発酵が起こることを発見し、発酵を生じるものは酵素であると結論づけました。それ以来、酵素の研究は人体の理解に欠かせないものとなっています。 触媒として働く酵素は、そのままの状態では体内で利用できないエネルギー源を有用な形態に変えてくれます。あるものは補酵素と呼ばれる他の物質と特異的に結合することで作用する仕組みになっています。補酵素は特定の酵素と組み合わさり、酵素が各自の役割を果たすというわけです。酵素は多くの代謝過程に関与していますが、ここでは消化酵素の役割に焦点を当ててみます。 消化酵素2 は、唾液腺(アミラーゼ、リパーゼ)、胃(ペプシン)、膵臓(トリプシン)など様々な器官で作られています。ペプシンとトリプシンはタンパク質を、アミラーゼは炭水化物を、リパーゼは脂肪を分解する酵素です。これらの栄養素が細かく分解されてビタミンやミネラルなどの微量栄養素になり、腸壁を通って血流に入ります。酵素がなければ、せっかくの栄養が吸収されることなく体を通過してしまいます。酵素は栄養バランスを整えるために必要不可欠なものなのです。 必須酵素 栄養価の低い加工食品やストレス、座りっぱなしの生活、そして慢性的な心配事などは、体内の炎症性ストレスの増大につながる可能性があると考えられています。酵素はこの炎症性ストレスを軽減するのに役立ちます。変形性関節症に関連した痛みを軽減するとの事例も報告されています。3 さらに、酵素は強力な抗酸化物質としても機能し、フリーラジカルによる組織の損傷を軽減します。 このところ増えてきた研究では、特に慢性疾患を患っている場合、年齢を重ねるにつれて酵素が機能不全に陥る可能性があることが示唆されています。 4 酵素の効率的な働きを助けるには、必要なビタミンや栄養素をバランスよく摂取することが望まれます。 ガスや腹部膨満感などの消化器系の症状が酵素不足と関連しているとの見解もありますが、まだ結論に至るほどの研究はありません。このような症状は、膵臓の機能不全と関連していることもあれば、食物の不耐症や偏った食生活が原因となっていることもあり、食生活の改善を検討する価値はありそうです。一向に変化がない場合は、酵素を増やす簡単な方法をいくつか試してみるとよいでしょう。 酵素を増やす 隠れたヒーローである酵素をより多く体内に取り入れたい場合は、酵素を豊富に含む様々な食品を活用しましょう。酵素は非常に熱に弱く、調理で破壊されてしまうので、生か発酵食品を選ぶのがベストです。 果物はいつ食べてもよい食品です。パパイヤにはパパイン、パイナップルにはブロメラインという酵素が含まれていて、体内で抗炎症作用を発揮します。活性酵素を多く含む発酵食品としては、ピクルス、キムチ、コンブチャ(紅茶キノコ)やケフィアなどの飲み物、ヨーグルトなどがあります。発酵飲料と果物を組み合わせてスムージーにしてみてはいかがでしょうか。貴重な酵素に加えて、多くのビタミンを摂取できる飲み物になります。 それから、多くの補酵素はビタミンに由来しているので、健康的なビタミン摂取も含めてバランスのよい食事をすることが重要です。必要不可欠な微量・超微量栄養素を確保できるよう、オーガニックのホールフードを基盤とし、加工品をできるだけ少なくしましょう。そうすれば、酵素を増やし、ひいては全身の健康にも役立つ食生活ができます。 https://www.nobelprize.org/prizes/chemistry/1907/buchner/facts/ [↩]https://en.wikipedia.org/wiki/Digestive_enzyme [↩]https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4089899/ [↩]https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S221083351500067 [↩]
バイオアベイラビリティとは
Reading Time: < 1 minute サプリメントで栄養補給する際にバイオアベイラビリティが重要な理由をご存知ですか。 サプリメントについて探求していると、遅かれ早かれ「バイオアベイラビリティ」という言葉に遭遇することになるでしょう。馴染みにくい言葉に聞こえますが、実はサプリメントが効果的かどうか判断するにあたって、大きな鍵となる要素なのです。 多くの科学用語と同じように、もっと噛み砕いた言い方に変えた方が分かりやすくなるかも知れません。 日本語にすると生物学的利用能、つまり、ある物質(サプリメントの成分でも医薬品でも)が生体内に吸収され利用できるようになる効率のことです。1 サプリメントに関連してなぜこれが重要なのかというと、サプリメントの主成分(ビタミン、ミネラル、酵素、ハーブなど)が体に効率良く吸収されれば、それだけより早く、より多くの効力が得られるからです。 サプリメントは通常、カプセルやタブレットの形状になったものを経口摂取します。飲み込んだサプリメントは食品と同じように体内で消化されて消化管を進み、腸壁を通過して血流に入ります。その後、体内の栄養GPSとも言えるようなすばらしい仕組みによって、送るべきところへ成分が運ばれていきます。ここまで来てようやく、栄養は本来のメリットのために働くことができるのです。ですから、迅速かつ効果的に作用すればそれだけ、私たちにとって望ましいと言えます。厳密に言うとサプリメントによっては成分が完全に体内に吸収されず、期待したような効果が得られないものがあります。 ひとつ意識しておきたいのは、サプリメントのメーカーは、バイオアベイラビリティを最適化した商品であると主張することが多いという点です。しかし、それは単純な話ではありません。サプリメントそのものだけでなく、個人の体という2つめの要素も考慮に入れる必要があります。 サプリメントに関して言えば、サプリメントの形態と溶けるまでにかかる時間、必要不可欠な成分がどれだけ早く作用するか、原材料の質と配合などが重要なポイントとなります。成分によっては他の栄養素と組み合わせた方が吸収効率が良くなることも計算されているべきでしょう。例えば、カルシウムのサプリメントにはビタミンDが配合されているものがありますが、それはビタミンDがカルシウムの吸収効率を高めるからです。2 考慮すべきもう一つの要素は、あなた自身です。人の体には個人差があり、一人ひとりが異なります。そのため、どんなに体内での利用効率に優れたサプリメントであっても、摂取する本人に起因する様々な条件に左右されます。 年齢、性別、全身の健康状態、消化器系の状態(適切なサプリメントでサポート可能)、摂取の時間帯、胃が空か満腹かどうかなど、実にたくさんの変数が要因となるのです。 さらに成長期の子どもたちや高齢者、妊婦さんなど、ライフステージによっても必要な栄養素がそれぞれに異なるだけでなく、サプリメントの吸収効率も変わってきます。 もちろん、気になることがあるなら、サプリメントのメーカーに問い合わせてみるとよいでしょう。消費者から聞かれるまでもなく、製品のバイオアベイラビリティを積極的にアピールしているメーカーを選ぶことも一案です。また、ネットで少し調べれば、最適な栄養素の組み合わせがいくつか分かります。 科学の裏付け以前に、常識ありきです。サプリメントに含まれるよい成分を素早く吸収できれば、健康やエネルギー水準に迅速な変化がもたらされます。少し時間をかけてバイオアベイラビリティがどのように機能するかを理解し、確かな情報に基づいて自分に合った組み合わせを選択しましょう。 https://www.sciencedirect.com/topics/pharmacology-toxicology-and-pharmaceutical-science/bioavailability [↩]https://www.nof.org/patients/treatment/calciumvitamin-d/ [↩]
健康的な消化をサポート
Reading Time: < 1 minute 食生活や栄養状態はいろいろな面で私たちの体に影響を及ぼしますが、消化も例外ではありません。食べたものを消化する際に体がどう反応するのかは人それぞれに異なり、年を取るにつれて変化することもあります。 私たちは、何を食べるかには結構な時間を費やして考えていても、食べた後の消化吸収についてはあまり考えていないものですが、食べるものに注意すれば、消化にも、さらには健康全般にもよい影響を与えることができます。 基礎知識 何を食べたとしても、体に吸収し栄養素として利用するためにはまず消化しなくてはなりません。ここで働くのが消化器系です。消化器系は口から肛門までつながる長い消化管と、肝臓や膵臓のような消化腺および付属器で構成されています。 消化の仕組み 食べ物は消化管を通過していく過程で、肝臓、膵臓、そして胃や腸から分泌された酵素や酸などの消化液の働きで様々な栄養素に分解されます。タンパク質からできるアミノ酸、脂肪からできる脂肪酸とコレステロール、炭水化物からできる単糖をはじめ、ビタミンやミネラルといった栄養素が消化によって利用できるようになります。1 消化のプロセスは口の中で食べ物が咀嚼されるところから始まり、小腸で栄養素が体内に吸収されて終わります。その途中、体内のあちこちで様々な消化液が分泌されます。 唾液腺 – 唾液にはデンプンを分解する酵素が含まれています。 胃粘膜 – 胃粘膜にある分泌腺からはタンパク質を分解する酸や酵素が分泌されます。 膵臓 – 膵臓からは炭水化物、脂肪、タンパク質を分解する数種の酵素が分泌されます。 肝臓 – 肝臓で生成される胆汁は胆のうに貯蔵され脂肪の分解に使われます。 小腸 – 消化プロセスの最終段階となる小腸ではタンパク質とデンプンの分解が行われます。 上記のひとつでも十分に機能していなければ、食べ物からきちんと栄養素を吸収することができません。 消化酵素の生成は健康状態や病気、ストレスの影響を受けます。消化に問題があることが疑われる主な症状には以下のようなものがあります。 食後の膨満感 食後のお腹のガス溜まり 胸やけや消化不良 胃もたれ お通じの不調 消化器系の健康を改善 何を食べるかについて考える前に、ストレスも消化に影響を及ぼすことを知っておきましょう。実践的な対策を講じてストレスに対処し、症状を管理することは、胃腸の不快感を和らげる一助となります。 食べ方も重要です。早食いや動きながら食べることは避けましょう。どちらも消化器系にとって良いことはありません。食べたものがお腹の中で落ち着かないだけでなく、体は運動のサポートをしなくてはならないので消化にエネルギーを集中させることができません。 食事の面でも食生活に特定の食べ物を取り入れることで消化器系の健康を改善することができます。 まず第一に、健康的な消化に不可欠なのは、新鮮な果物や野菜、特に緑の葉物野菜をたっぷりと食べることです。また、オリーブオイルと脂肪分の豊富な魚を多く食べる地中海沿岸部の食習慣にも着目すべきでしょう。 魚の脂肪分には抗炎症作用を有する物質が含まれ2 心血管系によいことが知られています。マグロやサケといった魚が消化管を助ける可能性もあります。事実、過敏性腸症候群(IBS)の患者には、魚の脂肪に含まれるオメガ3系脂肪酸の少ない人がいることが研究で示されています。 消化器系の健康のため、特に大腸の健康のためには繊維質が欠かせません。一般的に、健康的な消化のためには1日25gの食物繊維を摂ることが推奨されています。食物繊維の摂取を増やしたいときは、いきなり大量に食べるのではなく徐々に増やしていきましょう。そして腹痛や膨満感を防ぐため水分もたっぷり取って下さい。 食物繊維が豊富な食べ物には、全粒穀物、全粒パン、リンゴ、イチジク、ナシ、ホウレンソウ、カリフラワー、ニンジン、インゲン、ブロッコリーなどがあります。 利胆作用のある食べ物 利胆作用のある食べ物3 を食生活に取り入れると、消化器系、特に肝臓の手助けになります。 利胆作用とは胆汁の分泌を促進する働きです。胆汁は消化吸収において重要な役割を果たしています。また、肝臓は胆汁を介して老廃物を体外に排出しているので、胆汁の量が多ければ両方の効果が高まるのです。 利胆作用のある食べ物にはアーティチョーク、チコリー、ビーツの葉、ウコン、カモミールなどがあります。 プロバイオティクスとプレバイオティクス プロバイオティクスとは腸内に自然に存在する生きた微生物、善玉菌のことです。しかしこの微生物が足りないと腸の働きが低下してしまいます。 乳酸菌やビフィズス菌といったプロバイオティクスはそれらを含むヨーグルトやサプリメントからとることができ、過敏性腸症候群の症状を和らげるという研究結果も報告されています。プロバイオティクスの摂取が足りないようなら、消化吸収を促進するために1ヶ月ほど毎日こうしたヨーグルトやサプリメントをとり続けてみましょう。 腸内のプロバイオティクスを増やすためには、プレバイオティクスと呼ばれる食べ物を積極的に食べるのもおすすめです。バナナ、ニンニク、キクイモ、リーク、タマネギ、ハチミツ、アスパラガスなどが良い例です。 ザワークラウト、サワードウブレッド、バターミルク、味噌といった発酵食品も消化に役立ちます。消化を助ける物を食事に取り入れようとしたときに、こうした発酵食品がすぐに頭に浮かぶことはないかも知れませんが、実際これらはとても体に良いスーパーフードです。 発酵しているため、これらの食品には善玉菌が含まれています。善玉菌は食べ物を消化しやすい状態にするほか、胃酸を乗り越えて大腸まで届き消化吸収を助けます。 その他の消化に良い食品 アジアではショウガが消化に良いとされています。食生活に積極的にショウガを取り入れると消化が促進されて胃腸の健康によい効果があることは、研究で明らかにされています4 。ショウガは食べたものが胃から小腸上部までスムーズに進むのを助けるほか、吐き気を抑える効果もあります。ジンジャーティーを飲んだり、炒め物に刻んで入れたり、サプリメントとして摂取したりしましょう。 ショウガには腸内のガスを抜く働きがあることも知られています。また、ペパーミントの葉やオイルにも胃の筋肉をリラックスさせ不快感を和らげる作用があります。ただし胸やけには逆効果となることがありますので気を付けて下さい。ペパーミントティーとして飲むのが簡単でおすすめです。 自分にとって良いバランスを見つけましょう 胃腸の調子が悪いのは本当に不快なものです。消化への悪影響を減らしてより健康になるために、食べ物や飲み物、そして生活習慣を見直してみて下さい。 […]